第十話 頂点・どん底
俺らは日が暮れるまで遊んだ
今日という日がもっと長くなればいいのに・・・
そう思った。初めてそう思った
今日は周りの視線がどんなに刺さってきても
国のやつらが検査しにきても
何も気にならなかった
今までは明日が来るのが怖くて
このまま永遠に夢の中に入れたらいいのにと思っていた
だって、夢の中では家族がいて、友達もいて
すごく楽しかったから
でも今は明日が待ち遠しい
明日になったら走って学校に行こう
そしたら今度は、カケルにも「おはよう」って言えるんだ
次の日俺は走って学校に行った
俺はいつも遅刻ギリギリに学校に行く
それには理由がちゃんとある
それは、人が少ないから
早く出る時は仕事をしている人がたくさん歩いていて、中間は、学校に行く人がたくさんいる
だからこの時間帯が一番良かったんだ
靴をげた箱に入れてドキドキしながら教室に近づいていった
すると教室に入って行こうとするカケルの姿が見えた
俺も走って後を追った。でも教室の前に行くと険悪なムードになっていた
俺は教室の後ろのドアのほうに行った。するとひそひそ話がたくさん聞こえてきた
「ねぇ。カケル君昨日ソラと遊んだんだって」
「えー!うっそ。最悪じゃん」
「信じらんねー」
俺は必死に気配を消しながらカケルを見てみた・・・
そしたらカケル君は下を向いていた・・・
いつも笑ってばっかりで、いつもみんなの中心にいたのに・・・
俺と一緒に遊んだせいで・・・
俺は無意識のうちにドアを開けて叫んでいた
「桐沢って人は俺が無理やり誘ったんだよ!そいつは悪くない!そいつは俺のこと大っきらいだ って言ってた!だからそいつは関係ねぇよ・・・」
そう言って俺は走って学校を出た
何やってるんだろう・・・
バカだよ・・・カケル・・・
だからろくなこと起きないって言ったのに・・・