8月17日晴れ
その日、俺、智樹は引越し二週間前の俺は荷物の整理をしていた。
作業開始から2時間が経ったが押入れの中が空になる様子はない。終わりの見えない作業にうんざりしながら押し入れから次の箱を取り出し、中を確認すると、一冊のノートが入っていた。
「15歳の日記 8月~3月」
そう書いてあった。これを見つけた時、俺は終わらない引越し作業に飽きていたし、何より人よりも圧倒的に飽き性な俺が実に7ヶ月もの間日記を書き続けたと言うのだから興味を持たざるを得なかった。
俺は好奇心と緊張を胸に表紙をめくった。
8月17日
今日から日記を始めようと思う
理由?よくぞ聞いてくれた
最近俺は気になってる女子がいる
その子との思い出をこれに残しておこうと思って書き始めた
その子の名前は中村奏っていうんだ
俺は基本こーゆーのは長く続けられないから彼女と何かあったらこの日記にしるしていくぜ、といっても今日は夏休みで会えなかったから彼女と俺の基本情報を書いておく
奏
・成績優秀・容姿端麗・スポーツは苦手っぽい・明るくて友達がたくさん ・クラスの男子人気は2,3位
・東京の進学校を受験予定
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俺
・勉強は普通・顔は普通・スポーツは普通・明るくて友達たくさん・女子人気は下位でも上位でも無い
・県内の進学校に行けるかどうか瀬戸際
あ!あと二つ書いておきたいことがあった
一つ目、今現在、恐らく奏は俺の事を好きではない。ただクラスの男子の中では仲が良い方だと思っている
二つ目、俺には恋のライバルが少なくとも二人はいる。
一人が真田俊樹。スポーツ万能だが容姿は正直微妙。俺の方が優っていると思うし、あいつは女子とろくに話すことのできない男だ。こいつには勝てる。
二人目、こいつが厄介だ。西内純也。奏と家が隣同士でいわゆる幼馴染だ。小さな頃から一緒に遊んでいたらしい(羨ましすぎる)。
まあ初日はこんなもんかな。あと2日で二学期。二学期中に奏と付き合ってみせる!ーーー
ーーー俺は初日の日記を読み終え、当時の記憶が少し戻ってきた。
この日はこれ以上日記は読まずにさっさと荷物の整理を終わらせ寝た。