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08 事後処理1

08事後処理1

 

 ゾンビ作品が好きだった。

 人の愚かさや、パニックにならずに行動する事の大事さを、映画の中の失敗から学べる。

 でも、最近のはとにかく銃でヒャッハーなのが多い。

 日本のゾンビ作品ですらそうだ。

 何で日本で銃? といつも思った。

 他にも気になる事が多い。

 

 ■

 

 

 どれだけ経てば死ぬのか分からなかったので、2週間待った。

 そのずっと前からコンビニの商品は減らなくなっていたが。

 

 それから13階に上がり、各部屋をチェックした。

 全ての部屋に鍵が掛かっていたが玄関横の窓が割られている部屋が一つあった。ここから手を入れたらドアの内側の鍵に届く。このマンションに来た時、全ての部屋をチェックしておいたので、俺がここに住みはじめてから連中が来たという事になる。

 出くわさなくて良かった。

 

 昼間は奴らも眠っている事が多いので、中から不審な音などはしなかった。

 

 今回は部屋の確認だけ。

 実行は明日だ。

 


 ○


 

 ゾンビはあまり殺さない様にしている。無駄に戦えばこっちも危ないし。

 しかし、マンションの上の階のゾンビは放っておけなかった。

 奴らは階段の登り降りが下手だが、転がって落ちてくる事はできる。死んで既にゾンビに変わっていると思うが、ここのマンションの階段ぐらいならなんとなく移動できてしまうかもしれない。

 うっかり11階フロアに入られても困るし、階段を塞がれるのも困る。

 ここの奴らは殺すしかない。


 

 ○


 

 次の日の昼、13階に登った。

 もうしばらくここに居るつもりだ。先に憂いは払っておきたい。

 

 割れた窓から、そっと鍋を下ろす。

 中にはたっぷりの練炭。既に着火済み。

 大理石風の玄関に下ろした鍋の金属音にヒヤッとした。

 事前に屋上から紐に吊るしたスマホを降ろして動画撮影もしておいた。窓は全部閉まっている。

 煙は大丈夫として、熱の方が火災報知器にかかったらどうしようかという不安はあるが、部屋が同じ作りなら、玄関先に火災報知器は無い。いける。

 

 割れた窓を外からダンボールとテープで塞ぎ、立ち去った。

 

 

 ■

 

 

 奴らはそこら中にいたので実験は何度もやった。

 連中にはガスも効く。

 

 最近のゾンビ作品がゾンビを殺してヒャッハーメインになってきた時、ずっと疑問に思っていた。

 魔術的ゾンビではなく、生物的ゾンビだというのに、どうしてガスを試さないのか。どう考えても死体が飛び散って危ないはずの爆弾は使うくせに。

 実際、爆薬を使った時は色々面倒だった。まだ余りはあるが、今後よっぽど危ない時意外は使えない。

 

 思えばそれは映像規制にひっかかるせいだったのかもしれないが。

 

 練炭による一酸化炭素中毒死は、大量の一酸化炭素を吸入する事によって起こる。

 一酸化炭素は血中のヘモグロビンと強力に結びつく。つまり、酸欠で死ぬ。苦しいだろう。

 血管が詰まって同じ様に酸欠になる心筋梗塞が凄まじい激痛らしいし、そもそ窒息死だ。もがき苦しむだろう。練炭自殺なんてするもんじゃない。


 このゾンビ虫は肉体をそのまま生かしている。変な電気を発して筋肉を動かしているとかではない、脳と入れ替わり、人体を動かしているのだ。

 酸欠にしてしまえば、心臓は死ぬ。心臓が死ねば体は動かない。そうなればゾンビも体を動かすことができない。内臓が死ねば血が腐る。

 血が腐った肉体は朽ちていくだけだ。

 ゾンビ虫はかなりのダメージでも肉体を維持し、修復し、起き上がるが、完全な死体はどうしようもない。

 

 塩素ガスも効いたが、この高級マンション一室を塩素ガスで満たすための洗剤を運ぶのが面倒だったしもったいなかった。

 練炭なら、そこまでの量はいらない。

 俺も持ってるだけで使ってなかったし。在庫処分。

 

 洗剤の方、塩基系のは大事だ。これは生物に効く。外出帰宅後の消毒に使っている。

 どうせゾンビ虫は体内に居るが、他の雑菌も心配だし。衛生面には気をつけないといけない。

 匂いがあるのが問題だが。

 石灰もあるけど、これはこれで使いにくい。

 

 ■

 

 

 丸2日放置した。

 

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