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21 ゾンビ2

 22ゾンビ2

 

 俺達は3階に上がり廊下を確認した。

 廊下に逃げ遅れた人はいないみたいだ。居なくて良かった。腰が抜けて動けない人がいたら運ぶの面倒だし。

 

 4321段5678

 □□□□■□□□□通路

 

 3-4教室はここから一番奥になる。

 階段を挟んで反対側にも教室が4つ。

 反対側の突き当りは扉で、その向こうは渡り廊下というか、通路だ。隣の棟に繋がっている。

 1階は1年生、2階は2年生、3階は3年生。単純で分かりやすい。それぞれ8クラス。

 隣の棟も左右対称の建物で、今はどちらの棟も共同部屋になっている。

 四十数人の生徒が入っても余裕がある広さの教室だったけど、同じ人数が住むとなるとキツイ。

 俺はこっちの棟じゃないから分からないけど、皆それぞれグループ基準で住んでいるため、部屋の中の人数はまちまちだ。

 

 通路の扉が空いているので、そっちに逃げた人も居たんだろう。向こうの棟も混乱しているのだろうか。だが特に騒がしい声は聞こえない。

 3階はしんと静まりかえって……いない。

 音がする。

 

 3-4教室はつまり突き当りなので、見に行くのは勇気が居る。

 退路が1つしかない。

 

 そういえば1階も2階も確認していない。

 まだ人いるんだろうか。

 

 ゆっくりと、音を立てないように歩いて3-4教室に近付く。

 途中、1、2、3の教室を覗いてみたが、逃げ遅れた人は居ないみたいだ。

 

 3-4教室に近付くと、音がだいぶうるさく聞こえた。

 本当はほんの僅かな音のはずなのだが、静かな中ではよく響く。

 

 ……ところで、何で俺が一番前なんだよ。

 

 振り返って非難の視線を浴びせても、2人の警備員はウンウンと頷くばかりで前に出ようとしない。テレパシーとか無いし。いったい何に頷いてるんだ。

 

 教室入り口は全開だ。隙間から覗くというわけにもいかない。

 

 俺はゆっくりと中を覗き込む。

 目の前にゾンビがいたらやばいが、音の感じから、もっと奥の方だろうと予想を付けていた。

 手鏡とか準備してれば良かった。

 

 

 

 ■□■

 

 

 俺は何度かゾンビを見たことがある。

 最初に見たのは路上だった。

 家族と検査に向かう途中、車の中から見た。

 

 信号待ちで停まっていると、近くの歩道にいた。多分、俺達家族だけじゃなく、他の車の人達もびっくりしたと思う。

 

 ゾンビが人を食っていた。

 見た目だけでは本当にゾンビかは分からなかったし、食っているかどうかも分からなかった。

 男がうずくまって、歩道に横たわっている子供の腹をまさぐっていた。

 赤黒い液体がそこら中に溢れていた。

 ゾンビじゃなくてもヤバイ奴には違いない。

 

 あの子供が助かるとは思えないが、それでも父さんは車から飛び出そうとしていた。

 母さんと妹がそれを必死に引き止めていた。

 俺は子供よりも、あのゾンビをなんとかしないとマズイと思った。

 ネットの情報によれば人間の全力が出るらしいので、もしかすると車の窓ガラスぐらい割ってしまうかもしれない。

 厄介な事に、車の窓ガラスを割られると目の前に首や頭がある。首を傷つけられた死ぬ。

 そのまま死ねればいいが、ゾンビ虫が孵化したらたまったもんじゃない。

 

 車の中に何か武器が無いか考えているうちに、他の車から男達が出てきた。バットやゴルフクラブで武装していた。うちも準備しておくべきだったなと思った。

 とりあえず頭をやれば死ぬみたいだというのを、その時実際目にした。

 男達はかなり苦戦しながらも、なんとかゾンビを再び死体に戻した。囲んで叩くのは有効だ。

 男達も多分はじめてゾンビと戦ったわけじゃないんだろう。そうじゃなきゃこの状況で出てこれない。うちの父さんはともかく。 

 


 ■□■ 

 

 あの時の再現とはいかない。

 あの時は数があった。

 徹底的に叩いて叩いて、だいたい頭周辺に何度も当たって倒せたに過ぎない。

 1対1で頭なんて狙えるものじゃない。

 

 

 ■□■

 

 

 教室の奥の方には、ちょうど最初にゾンビを見た時と同じように、うずくまる人影があった。

 背をこちらに向けている。

 

 足元に倒れている人へと身をかがめ、肩や頭を動かしている。

 

 ぐじゅぐじゅと肉が擦れる音。

 時折ぴちゃぴちゃと床に滴り落ちる音も聞こえる。

 

 ゾンビは食事中だった。

 

 

 ○

 

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