02 キャンプ
02キャンプ
あのコンビニが荒らされていたという事は、もしかしてここか?
自分がキャンプしている場所にあのコンビニを荒らした連中がいるのかもしれない。
ここは高級マンションだ。この辺では。
部屋が広い。何が高級なのか実はよくわからないのだが、部屋が広いのは高級要素の1つで間違い無いだろう。
1階あたり4部屋。それが13階。駐車場は隣接した立体駐車場がある。
テナントが入っているという事もなく、純粋な住居のみのマンションだ。
俺がここに来たのは2週間程前。その時に全部の部屋はチェックした。鍵が掛かっているのが大半だったが、開いている部屋もあった。物資の補給には役立った。でも、奴らがねぐらにしたら面倒なので部屋から鍵を探してしっかり戸締まりをした。鍵が探せなかったところはドアノブを外して針金と粘着テープで塞いだ。奴らはテープを剥がす様な動作はできない。
それだけで丸2日掛かったので、結構思い入れのある住居だ。
俺が来る前から誰か住んでいたのだろうか。
やはり窓を割ってでも侵入して調べるべきだったかもしれない。
音が危ないのと、窓枠に詰まったところを後ろから襲われる事を警戒してやらなかった。
連中は人間のように歩いて階段を登るのが下手だが、這って登ってくる事はできる。気をつけるに越したことはない。
この辺りだとこの建物が一番高い。
目立つ。
奴らはそういうの気にしないが、生存者は気にするだろう。
見晴らしが良いのはそれだけで安心感があるものだ。
もしも俺の他に生存者が居たとしたら、すれ違っていたという事になる。
思い至って鳥肌が立った。
うっかり鉢合わせしていたら殺されていたかもしれない。
俺は一人だ。別に戦闘力が高いわけでもない。
突然出会い頭に人が人を殺すのか。わからん。でも、もし殺されたらそこで終わりだ。希望的観測で生きられる様な世界ではない。昔も今も。
このマンションにいると決まったわけじゃない。
数件ある3階、4階のアパートかもしれないし。
だが、どこかには確実にいる。うちのマンションが確率は高い。
キャンプ、つまり11階の1101号室に戻った俺は、準備をした。