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17.とある親子の共同入浴 〜親父の聖剣と俺の聖剣、大きいのはどっち〜

 とりあえずマリアが異世界に帰ることはなくなった。

 しかし今回俺の封印が解けた事でいくつか疑問に思っていることがある。


 一つ目は、聖剣が言っていた(第一の封印)と言うやつだ。

 第一ということは第二の封印があることになる。


 二つ目は、封印が解けた時に俺の性格が急に好戦的になったこと。


 三つ目は、過去の記憶が少し戻ったこと。その記憶の中で俺は小さい時に少女にプロポーズしていた。その顔はぼんやりとしていてはっきりとは思い出せないのだが、誰なのかすごく気になる。


 ──時刻は夜の11時。

 色々あった今日はマリアはうちに泊まることになり、すでに桃奈と一緒に寝てしまった。

 俺は独り、リビングでコーヒーを飲みながら親父の帰りを待っていた。


「ただいまー。あ゛ーあ、なんか今日めっちゃ働いちゃったわ、って獅童しかいないじゃん」


「何がっかりしてんだよ。俺じゃ悪いのかよ」


「当ったり前だ! 我がマイスウィートエンジェルドーターの桃奈が出迎えてくれなきゃ嫌だ! お前じゃ疲れ取れねーよ」


 ったく相変わらずのクソ親父だな。

 親父は桃奈を溺愛している。まあ父親にとって娘というのはそれくらい可愛いものなのかもしれないが。

 

「んなことより色々聞かせてもらうぞ親父」


「えーっ、今日疲れた。また来年にしてよぉ」


「来年ってなめてんのか!」


「まったく仕方ねーな。じゃあ久しぶりに風呂、一緒に入るか」


「はあ!?」



 結局本日2回目となる風呂に入ることになった。

 それにしても親父と風呂に入るなど何年ぶりだろうか。

 昔は大きく感じた背中も今となっては俺とさほど変わらない。

 

「何お前ちんちん隠してんの? 俺に似ずにしょぼいもんでもついてんのか?」


「う、うっるせ。親父だって別に大したもん付いてねーだろ」


「お前が俺の聖剣をバカにする時が来るとはな、あはは」


 なにべたなギャグ言ってんだ。こいつは……。

 俺と親父はかなり窮屈に感じる風呂に2人で浸かった。

 カサ増しされたお湯が、ダムが決壊したかのように一気に浴槽から溢れ出す。


「それで俺の封印って何個あるんだよ。今日聖剣が第一の封印って言ってたんだ」


「ああ、お前の封印されたスキル、つまり能力は3つある。1つ目は俺から受け継いだスキル、『聖武(せいぶ)の才』だ。これは聖剣を顕現させる能力と共に武術の力を人間の限界を大きく超えて発揮できる。だから昼間のB級連中じゃ、まったくお前の相手にならなかったわけだ」


「へぇー、そんなスキルだったのか。なんかあの時好戦的な気持ちになったんだがそれはスキルと関係あるのか?」


「いや、それは多分お前の眠ってた性格の一種だな。過去の記憶がちょっと戻っただろ? それで昔の性格がちょろっと蘇ったんだろ」


 俺ってガキの時どんな性格してたんだよ。『おやつが食べてーんだよ。この三下!』とか言ってたのか。


「もっともそれはスキルを使った時の副作用みたいなもんだろ。まあ気にしなくていいんじゃないか? んでっ、2つ目と3つ目のスキルだが……すまん忘れたわ」


「おい! 親父、正気かよ!」


「いやー、だってもう何年も前にスキル鑑定士に調べてもらったことだから仕方ないだろ。圭吾ちゃんも歳取ったってことさ」


 自分をちゃん付けで読んでんじゃねーよクソ親父め。

 

「ただ2つ目は母さんから受け継いだスキルってことと3つ目はお前自身のスキルってことは覚えてるからそれで勘弁してちょ!」


「……っつ。まあしょうがないな。あとさ、俺の記憶でガキの時、その、プ、プロポーズをした記憶があるんだが親父は誰か知らないか? もしかしてマリアか?」


「ガキの時にプロポーズとかお前すげーな。粗チンのくせに」


「そ、粗チンじゃねーよ。それでどうなんだよ」


「んいや、俺は分かんねーな。大体二人っきりの時にしたんだろ。お前とその子以外知らねーんじゃないか。マリアちゃんかもしれんし、そうじゃないかもしれんな。まあそのうち分かるだろ。はぁーあ、どっこいしょ」


 手がかりはなし……か。

 少し小っ恥ずかしいがまたマリアに聞いてみるしかないか。

 親父はそう言って湯船から上がると、


「今日はマリアちゃん助けてくれてありがとうな」


 優しい笑顔で俺の頭をくしゃくしゃ撫でながら言った。

 くそ、まったく親父め、俺より全然いいモンついてんじゃねーか。

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