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12.これはデートですか? いえ、おっぱいを楽しむ散歩です

 デートとは広辞苑によると1、日付。2、男女が日時を定めて会うこと。という意味合いだそうだ。

 つまり約束をして会うことがデートであり、約束のないものはデートではないということになる。

 そう考えるとこれから始まるのはデートなのだろう。


「獅童くん、準備できましたか?」


「あ、ああ、それじゃあ行こっか」


 数日前、俺はマリアにデートに誘われた。

 この世界に来て初めての週末を迎えた彼女に街の案内がてら、行きたがっていた秋葉原に行くことになったのだ。


 我が家に迎えに来たマリアは赤色のニットにデニム生地のミニスカートを履いて髪型をポニーテールにしていた。

 金髪ポニーテール、略して金ポニだ。

 初めて見る彼女の大人びた私服姿に俺は少しだけ目を奪われた。

 それにしてもニットで大きな胸が強調されて目が引き寄せられる。

 紳士的な俺(自己評価)はダイソン並の吸引力を持つ胸に抗うように目を反らしながら駅へと向かった。

 

「私、すごい楽しみです! お父さんから買ってきてもらったラノベとかアニメを見てからずっと興味があったんですよ」


「へぇーそういえば、うちの親父ラノベ作家だぞ」


「もちろん知ってますよ! アリストテレスシリーズは全巻読んでます」


 異世界の人間が異世界の物語を読んでも面白いものなのだろうか? ふと疑問に思ったが楽しそうに話す彼女を見ているときっと面白いに違いないのだろう。

 駅に到着するとマリアは不思議そうに改札を見つめた。


「これは……審判の門ですか?」


「審判の門? なんだそれ? これは自動改札機だ。電車は切符を買って、それをこの機械に入れて乗るんだ」


 マリアは俺の言うとおりに切符を買うと、震える手で改札機に入れて、駅ホームへと入った。

 すると彼女は、


「すごいです! ミラクルです! これ家にもほしいです!」


 そう言って嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねた。

 家に改札機があったらすこぶる邪魔で1日でぶっ壊してしまいそうだ。

 しかしマリアにとってこの世界ではまだまだ経験したことない事も多いだろうし、無垢に喜んでいる彼女の姿はそれはそれで可愛い。

 だがジャンプはするな。胸がバインバインのボインボインで直視できなくなるじゃないか。


「そ、そういえば今思い出したが、吉田は今日はいないのか?」


「吉田ちゃんは3日間くらい家のお仕事があるらしくて、この世界には今はいないですよ」


「そうか。なら今日は2人っきりなんだな」


「そうですね。獅童くん嬉しいですか? ふふっ。えいっ! えいっ!」


 からかう様に頬を突いてくるマリア。

 えーいクソ小悪魔め。鬱陶しい。

 これが俺じゃなかったら壁ドンからのキス案件にまで発展してるぞ。

 

「あっ、電車が来ましたよ獅童くん獅童くん! すごく大きいんですね」


「ああ、すごく大きいな……。まるでメロンみたいだ」


「へっ? 全然丸くないですよ?」


 しまった。つい俺の服を掴みながらはしゃぐマリアの胸を見てうっかり口に出してしまった。


「実はな、この世界では大きいものを見ると球体で例える文化があるんだ」


「そ、そうなんですか!? 覚えておきますね」


 ついちゃっかりと嘘をついてしまった。

 だが悪気がないことだけはわかってもらいたい。切実に。

 

 俺達は電車に乗り込むと目的地の秋葉原へと向かった。


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