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10.歓迎会は女子会です

 すごい才能。

 そんなもの本当に俺にあるのだろうか?

 平々凡々を極めし俺の人生にそんな力があるのなら喜ばしい限りである。


 桃奈が母から受け継いだ魔術の才能があるとすると、俺は親父から受け継いだ勇者の才能があるってことか?

 てか勇者の才能ってなんだ? この世界では到底役に立ちそうにないもののように感じる。

 便利度でいったら圧倒的に魔術の方が使えそうだ。俺も是非魔法少女獅童になって空を飛びたい。でもパンチラは禁止だぞっ!

 

「なにニヤニヤしてんの? 気持ち悪っ!」


「いや、空飛びたいなって」


「は? なに言ってんの? それよりもうすぐご飯できるからマリアちゃん呼んできてよ」


「そういえば親父はいないのか?」


「サタンさんと飲みに行って、そのまま編集部でまた泊まり込みで仕事だからマリアちゃん誘って飯食べてろって」


 酔っ払ったまま仕事に行くとは本当にどうしようもないクソ親父。

 そんな適当な奴がどういった経緯で勇者になったのか不思議だ。

 また今度帰ってきたら聞いてみるか。


 俺は桃奈に急かされ隣にあるマリアの家に向かった。

 立派な一軒家の表札には『佐多御仁亜(サタミニア)』と書いてある。

 なぜ漢字? どこぞの暴走族だよ。

 そういえば隣って川崎さんって家族だったが一夜にして建物ごと変わってしまったが、どうやったのだろう?

 これもまた不思議だ。


 チャイムを鳴らしてみたがどうやらまだ戻ってきていないようで、連絡先の知らない俺はその場で待つことにした。

 数分後、マリアと吉田が買い物袋を下げながら仲良く手を繋ぎ戻ってきた。


「無事に行けたみたいで何よりだ。桃奈が一緒にご飯食べようってさ」


「ひ、姫様! 不審者ダニ! この変態豚オーク野郎は吉田が成敗いたします」


「誰が変態豚オーク野郎だ。この吉田め!」


「吉田を悪口見たいに言うなダニ。全国と異世界の吉田に謝るダニ!」


「吉田ちゃん、さっきも獅童くんと仲良くって言ったでしょ。お座り」


「わ、わかったダニ……」


「吉田ちゃん偉い偉い。それにしても獅童くんと桃奈とお食事だなんて楽しみ! 荷物置いたらすぐに行きますね」



 家に戻るとたくさんの豪勢な料理が並べられていた。

 さすが我が妹だ。中学生にしてこの家事スキルを持つとはいつ嫁に出してもいいくらいだ。

 絶対に出さないけど。

 それにしても量が多すぎる。10人前くらいあるぞ。

 

「こんなに食べきれるのか?」


「マリアさんってああ見えてめちゃくちゃ食べるからね。特にキャベツとか大豆とか好きなんだよね」


 ほほ、それは胸を大きくするのに効果がある食べ物。

 それらが血となり骨となり、肉となり、あの豊満な体は形成されていったのか。

 なんともエロい、いや健康的な食事なのだろう。


「獅童なんかエロいこと考えたでしょ?」


「な、飯の話でエロいこととか考えれるわけないだろ?」


「獅童は変なこと考えてる時、口を開けてバカみたいな顔するからね」


 そんな分かりやすいカバみたいな癖があるとは以後気をつけよう。

 そうこうしているうちにマリアと吉田が家に来るとささやかながら歓迎会が開かれた。

 

「桃奈ちゃん本当に久しぶりだね」


「そうだね。会えて本当に嬉しいよ! まだこっちの世界に慣れないだろうから、私と獅童になんでも聞いてね。吉田ちゃんも」


「は、はいダニ! 桃奈だけ、桃奈だけ! に聞くダニ」


 何を強調しているのだ吉田め。

 こいつに頼まれたところで教えてやるものか!


「桃奈後でお願いがあるんだけどいいかな?」


「もちろんいいけど何?」


「あ、後で話すから今は秘密っ〜! ふふっ」


「え〜気になるよ!」


 俺も少し気になるよ〜!

 キャッキャウフフなガールズトークに入り込めない俺はテーブル下でガシガシと吉田に足を小突かれながら独り寂しく飯を食べていた。


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