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光と土の狭間にいる僕  作者: 二十四時間稼働中
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第三話 『三』

 ここはどこだ?いつのまにか僕はあの目映い光から逃れられていた。

 辺りを見回すと花一色。僕は夢を見ているんだ、と思った。いや、きっとそうに違いない。僕は悪い夢を見ているんだ。本当に悪い夢なのだろうか?僕は分からない。ただ、不吉な感じがした。僕は花に囲まれながら、呆然とそこから一歩も動けず、ただ立ち尽くすことしかできなかった。機械でもなったかのように動けない。いや、動く気力がないだけだ。もう何もかも面倒になった。どこ行っても、どこで何をしても、意味がないように思えてきた。これからのことを考えようとしたがやめた。そんなことに何の意味があるというのか?僕は意味のないことはしたくない。いや、それは嘘だ。僕は常に無駄なことをしている。僕はそれに対して快楽を感じている。無駄なことが大好きなのだ。人間のほとんどはそういうものだろう。

 僕は仕方なく、必然的に、物語的に歩く。歩いている間に、次の動作のことを考えていた。いつまでも、同じような動作を続けるわけにはいかない。歩くだけでは足りない。確かに僕は無駄なことは好きだ。それでも、今の状況を全て無駄なことで埋め尽くしたい、とは思っていない。僕にはやらなければいけないことがある。それを果たすまでは自由時間などない。逆に言えば、これさえやり終えれば自由になれる。それまでの辛抱のはずなのだが……。

 そんな不安を抱え込みながら、僕はどこまでも続く花畑を見た。確かに綺麗だとは思うが興奮などはしなかった。花なんかに興味なんてない。僕は花に近づく。興味なんてないくせに。花の匂いを嗅ぐ。興味なんてないくせに。それを摘む。興味なんてないくせに。花を舐める。興味なんてないくせに。花を食べる。興味なんてないくせに。美味と僕は呟く。興味なんてないくせに。僕は他の花も食べる。興味なんてないくせに。僕は食べる。興味なんてないくせに。全部食べたい気分になった。興味なんてないくせに。僕はただ食べ続ける。興味なんてないくせに。無性に食べたいのだ。興味なんてないくせに。僕の意識は薄れる。興味なんてないくせに。僕は眠る。嘘をつくな。僕は意識を取り戻す。元から意識があったくせに。僕は花畑を見渡す。本当はそんなものなんてないくせに。全部、嘘のくせに。お前が創ったんだろう?いつまで、くだらないことをやっているんだ?それでお前が救われる、とでも思っているのか?どこまでお気楽な頭をしているんだ?お前の世界なんてすぐに壊れる。脆いんだよ。いつも中途半端に創る。いくつになっても阿呆だよなお前は。学べよ。過去を見て学べよ。お前はそんなこともできないのか?それともしたくないのか?おい、黙っていないで何か言ったらどうだ?できないのか?仕方がない。お前はいつか自分で話し始めるさ。そのとき、世界は跡形もなく消え去っていくだろう。壊れていくだろう。

 僕は花畑の通り道を壊した。そんなもの、僕にとって何の必要もなかったからだ。花を踏む。花を踏み潰す。花は泣く。花は壊れる。花は怒り狂う。それでいい。これでいい。僕は進む。花を踏み続ける。花の声は僕の耳には届かない。僕は知らない。僕は進む。他人のことなんか知らない。耳が聞こえません。あの人のようになればいい。手話よりも早く答えたあの人のように。それでいい。僕は聞こえない。本当に聞こえない。それでいいんだ。それが嘘でも本当でもなくてもいい。どちらでもいい。どちらでなくてもいい。ただ、耳が聞こえませんと装っていればいい。ただ、耳が聞こえなくなればいい。ただ、それだけでいい。僕は進む。

 進め、電波少年。僕は電波少年じゃありません。僕はただの少年です。僕はまだ子供です。宇宙人、未来人、異世界人、超能力者、を未だに信じています。子供だから何にも知りません。僕は無知なんです。僕は自分が無知だと知っているから、無知の知なんです。分かりますか?ソクラテスですよ。僕は子供なんで読んだことがありません。聞いたことはあるのですけど。僕は何にも知りません。表紙しか知りません。本当に僕は無知なんです。どうすればいいでしょうか?子供の僕に誰も何にも教えてくれません。いつもはぐらかされます。何故でしょう?子供の疑問を答えるのは大人の義務じゃないのでしょうか?ちゃんと答えてください。大人なんでしょう?一体、僕は誰と会話をしているのでしょうか?たぶん、気が狂っているんだ、と思います。土のなかで花畑を創り出しているのですから。やはり、狂っています。一体、どこでネジを落としてしまったのでしょうか?それを拾わなければ僕はどうすることもできません。

 仕方がないと思い、僕は花で空を飛んだ。風船より高く飛べる。

 これほどの力を花は持っていたとは。花は大切にしないといけないということを学びました。次からは花を丁寧に扱いたいと思います。花からは色んなことを学ぶことができました。世界は美しい、僕はそう思ってしまいました。一体、どのように作られているのでしょうか?僕はそのことをもっとくわしく知りたいです。次の授業ではもっと世界のことを理解したいと思います。

また次の日投稿します

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