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高性能なら金はいらない。わけがない!  作者: 雨蟲 乙
シュテルン編
1/6

第一話 少女と少年の始まり

 ここはシュテルン。

こんなファンタジーな世界にはよくある至って平凡な街。

 そんな街で人々は商いをし、時には刺激を求め街の外で狩りをしたり。そんな感じの自由な生活を送っている。

 そしてそんな街に住む、赤髪、紅瞳の幼い少女、ルウナは祖母から、どこにでもあるような伝説。この街に伝わる英雄譚を聞いていた。


 「昔々、この街が魔王と呼ばれる存在に支配されていた頃のお話」


 ここまで喋り祖母は一息ついた。そして遠くを見て目を閉じまた話始める。


「そんな現状を変えようと立ち上がったのがステラという少年。しかし誰も少年に付いていこうとは思わなかった。支配されている、とはいえ、当時、魔王に歯向かえばそれはすなわち死を意味していたの」


 目を開けルウナに向き直る。


「でもステラはやり遂げた。方法は伝わってないのだけれど…そして数日後にステラは姿を消した。「あれは神だった」とも言われているの。それから、魔王の脅威を少しでも減らすために、冒険者という職業が生まれた。人々を魔物から守る、生活を支えることを生業とする者達。それから新たな魔王は生まれていないけれど…ね」


 それを聞き終えたルウナの顔は輝いていた。


「おばぁちゃん!私も…凄い冒険者になれるかな?」

「なれるとも。いや、なるよ。これはおばぁちゃんとの約束だ」





 7年が経った。ルウナは16歳になっていた。祖母は他界し今は母とシュテルンで小さな店を経営している。

 もちろん祖母との約束のため鍛練を欠かした日はない…いや、たまにサボったがルウナは成長していた。

ということで現在は母と店を経営している。


 これから最高の人生と最高の仲間を振り回すことになるとは、今のルウナには知る由もなかった。





 少年は知らない場所で目を覚ました。いや、正確には、地形は見たことがあるような気がするんだが記憶の中のこの場所はこんなにも緑豊かで…こんなにも敵意剥き出しのモンスターはいなかった。

 犬のような見た目、しかし大きさは数倍。正直…怖い。

 しかし少年はこう見えて(身長160cmくらいで細身)戦闘経験は豊富。腰の剣に手をかけた。ん?手を…かけた?汗が滝のように流れる。頭の中が混乱する。

 こいつに裸で勝てると思いますか?答えはNoだ。うん、そりゃそうだよね。


 そうと決まれば…逃げよう。

 あれは無理だって!


 逃げ始めて十分ほど。ついに少年は崖際に追い詰められてしまっていた。


「こんな時のための魔法覚えとくんだった…」


 とか呟いたがそもそも杖とか剣とか体の魔力を集める道具がないのでどちらにしろ使えない。

 それに今、思い出したが少年は下位魔法しか使えない体質なのだ。

 チラッと後ろに目をやる。高さは20mくらいだろうか?これくらいなら飛び降りてもまだ生きてるかも。


「よしっ!行くしかない!」


 そして飛び降りる。勢いを付けずに重力に身を任せ、空中で体勢を整える。


ドボォォン!


 どうやら着地地点は水、いや、お湯だったみたいだ。運よく温泉でもあったっぽい。

 打ち付けたところが少しヒリヒリする、がこれくらいなら問題無いだろう。


 と、安心していると甲高い叫び声が。


「きゃぁぁぁ!変態よぉぉぉ!」


 そこに居たのは複数の女性。その全員が産まれたままの姿だ。そして全員の目線の先に居るのは…少年だった。

 え?助かったんじゃないの?てか誰か居たの?居るなら居るってあらかじめ言っといてよ。


「誤解です!信じてください!だから持ってるものを投げようとすんな!」


 桶とか石鹸が飛んでくるのは分かるよ。お約束だよ。でもその中にギラギラしててとても鋭そうなものが混ざってるんですが。どこから出したの?

 死ぬ。このままここにいると死ぬ。ということで…


「ごめんなさぁぁぁい!」


 少年は本日二度目の逃走を開始した。


9/19 改稿しました。

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