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遅くなりました

俺はその場で転移門を創造すると出てきた。力がある者の特権だな。俺は七人に片手を上げ、回りを飛び回っている七匹の使い魔と共に転移門の中に入った。転移門は数十歩歩くと出口の扉に辿り着いた。俺は躊躇無く開けた。



転移場所はジャングルのような森の中だった。人目がない場所を選んだからだろう。それにしても木々が大きすぎないか?俺の何倍あるんだ?



俺は周りをキョロキョロと見渡してふと思った。神界では精神体だったため実態はなかった。今は勝手に構成された身体で形成されている。俺は自分の身体中を注意深く確認した。結果から言うと、俺退行してるやん!!



新しく生まれ変わってからの俺は時間が経って精神が安定して来たらしく、アースにいた人格に近くなっている。全く一緒というわけではなく、半分は非情で冷酷、さらに復讐で出来ている。



俺の身体は十歳まで退行しているから無茶も出来ないな。成長するまでこの森で修行でもするかなぁ。この使い魔達邪魔だなぁ。どうしようか。



急に使い魔の一体が光り始めた。嫌な予感しかしない。



「ぷはぁー。成功ね」



ほらな。俺の予感は当たるんだ。で、こいつは何の罪だ?



「お前は誰だ?」

「色欲ですわ」

「名前はないのか?」

「生まれてからこれまで私を含め七人は罪と共にありましたわ。ですから、名前なんかで呼ばれたことはないですわ」

「で、何しに来た。俺はお前らに神界を託して来たんだぞ」

「等分に分けるのに一人余ったので飛ばされましたわ」

「本音は?」

「私はヘルモーゼス様よりグリムリッパー様が好きですわ。欲しいですわ」

「驚くほどに罪のままだな。まぁそこがお前らの良いところなのかもしれないがな」



俺は自分の口調が変わっていることを今になって気付いたが、違和感がないことに驚きつつも気にしなかった。というか、色欲どうしよう。今回はたまたま正規ルートで来なかったから他の神にはばれてないが送り戻したらバレるだろう。なら危ない橋を渡るよりも、自分の監視下に置いておいた方が良いだろう。こういう打算的な考えも出来るようになったんだな、俺は。



「仕方ないな。何処かで問題を起こされても困るし、俺のそばにいろ」

「きゃっ!本日二回目のプロポーズですわ。嬉しくて茹で上がりそうですわ」



変なことを言って顔を真っ赤にさせているが、俺にその気はない。待てよ、俺はおかしいことに気がついた。



「なんでお前はさっきと姿が変わらないんだ?」

「それは転移して来たからですわ」

「俺も一緒のことをして来たぞ」



さっきは転移門まで使ったんだからな。



「いいえ、あなた様は転生なされたんですよ。転生のルールで年齢は胎児の頃〜十歳までと決まっていますわ。そのルールにあなた様も無理矢理嵌め込まれたのではないでしょうか?」

「ヘルめ、そんなこと聞いて無かったぞ…。お前はひょっとして物知りか?」

「当たり前ですわ!私は淫乱魔女とも言われていて七罪の中で唯一の魔法使いですわ」

「ほう、役に立ちそうだな」

「はいですわ。何処にでもお供しますわ」



なんか色欲って呼ぶのなんか嫌だな。名前でもつけてやるか。



「マリリン」

「へ?」



急に面と向かって誰かの名前を言われれば驚くのも当然だろう。ましてや、真面目な顔をして言うものだから動揺は必然的に大きくなる。



「それが今日からのお前の名だ。大切にしろよ」

「はい!!」



頬を赤らめ元気良く返事をしている様子を見ると、どちらが歳上かわからなくなる。外見的には十歳のガキと二十代半ばぐらいの妖艶なお姉さんだという構図だ。



明らかにおかしいが、マリリンはこれ以上歳を取ることはないので容姿は変わらない。俺は少なくとも十八歳ぐらいまでは行くだろう。というよりも、そうであって欲しいという俺の願望だ。



こんなとこでベラベラと喋るよりもやることをさっさとやろう。



俺がこの世界で生きていた頃と大分かけ離れているかもしれない。その辺の情報を含めて、足りない情報を詰めなければいけない。



まずは近くの街に行こう。目を凝らせば何処まで見える視界を持っているが、折角マリリンがいるんだ。他の話も聞きながら最寄り街に向かうことにしよう。



「まずは俺たちはこの世界の情報を集めなければならない。マリリン、お前はどのくらい知っているか?」

「私が知っていますのは、魔族と人族の間で第四次大陸争奪戦争が現在進行形で起こっているということですわ」

「これは情報集めも大変かもしれないな…」



俺の呟きは風によってかき消されてしまった。

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