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遅くなりました。
0:00に出せるように頑張ります
ヘルの館の中は整理整頓されていて綺麗だった。しかも引き出しごとにちゃんと中身のことをメモされているしマメな奴だ。口が悪くなければまぁまぁなやつだったのにな。勝手に自滅しやがって。
俺がヘルの館を物色してあらかた良いものを集め終わった頃に何かが近づいてくるのが意識せずわかった。これも力のおかげだろう。こればっかりは感謝するぜ、ヘル。
「主様、我ら七罪参りました」
館の広間の方から声が聞こえた。今俺がいる場所は最奥部と言っても過言ではない倉庫だ。声なんか聞こえるはずないと思うが。最後に残して置いた宝物庫を尻目に俺は広間に向かった。
広間には七人の魔神らしき者達が跪いていた。おそらくヘルの直属の部下だったのだろう。俺が来たことに顔を上げた七人はすぐに臨戦態勢に移った。武器は全員違うものを持っている。こいつらが臨戦態勢に入るのはわかる気がする。全く知らない奴が主の館から現れるのだから。ましてや今は戦争の真っ只中のようなものだからな。
「…お前は誰だ?」
鬼のような形相をした男が言葉を投げかけて来た。怒っているように見えるしこいつは【憤怒】か?七罪って言ってたよな。なら他に【強欲】、【嫉妬】、【傲慢】、【暴食】、【怠惰】、【色欲】があった気がする。
「俺の名前は【グリムリッパー】だ」
「そのグリムリッパーとやらは何故主様の館にいる」
「それよりお前らの自己紹介しろ。こっちも名乗ったんだから」
俺が憤怒らしき者と話し終わるのが待ちきれなかったのか、1人が襲いかかって来た。一人一人の戦闘力はバカに出来ない方が高いだろうが力を得た俺の敵ではなかった。
俺に襲いかかって来た者より早く移動し頭を掴み一言。
「死にたいか?」
そのまま頭を押し出すように投げた。そいつは床を破壊しつつ深さ五メートルぐらいの場所で止まった。息を吐く音が聞こえたからまだ死んではいないだろう。綺麗な豪邸を気づけてしまったが今の俺は何も感じない。寧ろこの力に感動を覚えていた。
「な、強欲のベンゼスが意図も簡単に」
七人の中で唯一の女が驚きの声を上げていたが、横で震えている奴がいた。それは憤怒だった。仲間を傷つけられて憤怒しているのだろうか。
「力でねじ伏せるのは簡単だぞ。他の奴らはどうするんだ?身体に染み込ませないとわからない奴がいるなら相手になってやるぞ」
「うらぁぁぁぁ!!!」
やはり、憤怒が襲いかかって来た。武器の槍を上手く使い、隙を生まないように攻撃しているようだ。しかし、俺にとっては全てが隙だ。何て言ったってあんなに速い槍捌きでもスローモーションに見えるからだ。俺は手を伸ばし槍頭を人差し指と親指で掴み静止した。槍捌きを見切られた上に槍を掴まれる失態を犯した憤怒は、力任せに槍を引いたり押したりするがびくともしなかった。普通なら槍を掴まれた時点で青い顔でもして命乞いをするだろう。憤怒はそんなことはせずに逆にもっと突っかかって来た。戦士なだけはあるなと思うが、同時に、愚者だとも思う。実力差を見極められない者は愚かだが、早々に戦闘を放棄するのはもっとダメだ。自分が日本にいた頃の最後を思い出すと怒りしか湧いてこない。自分の無力さをひたすら呪ったからな。
「実力差を理解したか?」
「…っ!俺の負けだ」
「他に文句ある奴はいるか?」
槍を離したら憤怒は元の位置に戻った。床にめり込んでいる強欲のベンゼス以外は伏し目がちに俺と目を合わせようとしない。これが力を持つ者の特権か。気分が良いったらありゃしないぜ。
「俺が誰だか説明してやるが、面倒だから一回しか言わないぞ?」
六人は唾を飲み込み喉をゴクリと鳴らした。一字一句の全てを聞き逃すまいと集中している。
「俺は転生者グリムリッパー。お前らの主のヘルモーゼスに呼び出された男だ。そして俺が邪神ヘルモーゼスを殺した」
「貴様がヘルモーゼス様を!!!」
すんごい顔で睨んでくる憤怒に対し、俺はカラカラと笑う。
「もう少し詳しく話すと力を与えてやるって言うから、力を求めたら全部吸い取った」
「…は?」
先程とは一転して間抜け面になる憤怒、対照的に残り五人のうち一人がブツブツと呟き始めた。力を得たことで何か行ってくるやつで強欲以外は、嫉妬か?
「いいなぁ。欲しいなぁ。力。ずるいなぁ」
よく見たらこいつだけ容姿が子供じゃねぇか。こいつらが面倒なのは七罪だから仕方ないのか。要するに、最初から詰んでたわけか。
「これでいいか?」
「邪神ヘルモーゼス様の力をグリムリッパーが持っているというのか?」
「そうなるな」
「なら我らは仕える主がいなくなってしまったというわけか」
「一つだけ言っておいてやるよ。俺は復讐と力が欲しいが為にこの世界を全て喰らい尽くす。だからヘルモーゼスが言ってたことは実行するぞ」
「なんと!なら私達に仕えさせて頂く許可を下さい!」
「いいだろう。俺の役にたってみろ。無能は喰らうぞ。力は無いよりあった方がいいからな」
すると、いつの間にか復活したのか強欲を含め七人が俺の前で片膝をついて俯いた。
「我ら七罪は新邪神グリムリッパー様の手となり、足となり働き。決して裏切らないと誓います」
こうして俺は七罪を配下に手に入れた。考えてみると俺が新邪神だということを影の神界に伝えないとな。神同士の戦争になった時に戦力が足りなくて負けましたなんてなりたくないからな。俺は殺される側から殺す側に回るんだ。




