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今回は短めです
俺は何もない空間の中で彷徨っていた。ただ自分が死んだことは理解出来ていた。死んでもなお俺は力を求めた。
「……おい………」
ん?誰かが呼ぶ声が聞こえる。死神が俺を迎えにでも来たのか?復讐をするまでは俺は消滅出来ない。こんな運命ばかりを押し付ける運命神を殺したくてたまらない。
「本当に闇堕ちしているようだな、クソが」
「お前は誰だ?姿を見せろ」
俺は自分の声が思いの外低くなっていたことに対し驚きはしたが、姿の見えない声の主の方が気がかりで仕方が無かった。俺の問いかけに応じてくれたのか目の前の何もない所から人の姿が徐々に現れた。
「なんだそのアホヅラはお前はそんな奴じゃないだろ、クソが」
目の前に背中から黒い翼を生やし、額から角を生やしている醜悪な男が現れた。普段の俺だったら恐怖するはずなのに今の俺は全く恐怖というものを感じることが出来なかった。それだけではなく感じられる感情は憎悪感だけだった。
「お前は悪魔か?」
「そんな低級な者に見えたのか、クソが」
「その語尾の、クソが、ってどうにかならないのか?なんか馬鹿っぽいぞ?」
「俺のアイデンティティに踏み込んで来るとはいい度胸してるじゃないか、クソが」
「直す気なさそうだし聞かなかったことにしてくれていい。そんなことよりも俺は他にも聞きたいことがある」
「わかってる、順を追って説明するから大人しくしてろ、クソが」
俺は疑うことも出来ず憎悪感しか抱かなかった。いや、何を考えても全てが憎悪感に直結されてしまう。まぁ、そんなことはどうでもいい。今の状況についてたっぷり理解しようじゃないか。




