表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/21

21


未完成

事情あって一旦あげさせておいてください。




10月14日更新

一応完成品



合図と同時に二人は走り出した。左右から俺を挟み撃ちにしようとしている。風魔法を使うことによってスピードを上げている。一歩たりとも動かない俺を見ても油断はしないこの二人はかなりの強者のようだ。



「さっさとお寝んねしな!」



スピードに乗ったまま飛び蹴りを放ってくるフェイレス。同じようにして殴りかかってくる腰巾着。俺は二人の動きを注視するだけだ。



俺にあたる寸前にフェイレスは足に電気を纏わせていた。



ドゴォォォォン



観客席からは「終わったな」や「あんなの食らったらトラウマになっちまう」など様々な言い様だった。だが、俺はこんな攻撃じゃあくだばらねぇ。



「捉えたよう感じたのに全く効いてやいないじゃないか」



一瞬驚きの表情を見せるがすぐに狂気に満ちた目に戻ったフェイレスに対し、腰巾着は青筋を立てて静かに怒っていた。その様子に俺に遅れながらも気づいたフェイレス。



「どうした、ガレズ。お前らしくないじゃないか」

「姉御」



腰巾着ことガレズは両手に握らされた花をフェイレスに見せる。折角の俺のプレゼントはガレズにはお気に召さなかったらしい。



「それは…?」

「姉御は見えていなかったのか?」

「勿体ぶっていないでさっさと言いな!」

「俺は両手で挟むように腹と背中目掛けて殴りかかった。けど、拳はあいつにあたる前に止まった。その隙にあいつは手元を見ずに目を瞑って俺の拳に花を捩じ込みやがった」

「そんなこと出来るわけないじゃないか!!」



俺を無視して思いっきり言い争いを始める二人。終わるまで待ってみようか。俺は身体を宙に浮かせて寝っ転がり目を瞑る。



どのくらいの刻が経ったのだろうか。俺が目を覚ますと、フェイレスとガレズの二人はそれぞれの得物使い攻撃していた。しかし、全てが眼に見えない何かによって防がれていた。



俺はこの状況が面白くてたまらなかった。強者が自分より強い強者に出会い苦しみもがく姿はどれだけ興奮することか。



観客席を見ると前に乗り出して観ている者もいれば信じられないと言った表情をしている者がほとんどだ。その中にマリリンが居るのを見つけた。あいつだけは恍惚な表情を浮かべていたから手を振ってやったところ、手を振り返してきた。



まだ喧嘩している。そろそろ声をかけるか。



「おい、選択肢を与えてやるから選べ。一、俺に手も足も使われずに倒される。二、お前らの最大火力の攻撃を俺が防ぐ。三、訳も分からず今すぐ倒される。押しちまったぜどれにする?」

「ガレズの言うことは嘘くせぇし、お前は偉そうだし許せん。二に決まってる」

「まさか!姉御、あんなのをまたやったら姉御の身がどうなるかわからないぞ」



フェイレスはガレズの忠告を無視して詠唱を始める。ガレズは俺の言ったことが信じられないらしく、フェイレスと俺の直線上で警戒していた。俺は何もしないってのに。それよりもネイトの時よりも長い詠唱をしているフェイレスには期待が募る。



「お前の名前はなんて言うんだ?」



ガレズが警戒しつつも俺に話しかけてきた。詠唱が終わるまで暇だから答えてやることにした。



「リッパーだ。名前を呼びたいならリーと呼んでくれ」

「けっ、大分余裕なんだな」

「そう言うお前は顔色が悪いが大丈夫か?」

「お前に忠告をしておくぞ。お前がいくら強いからとしても次の魔法は避けた方がいいぞ。姉御のあれは災害級の威力を誇る。まだ姉御ですら使いこなせてないから暴発するかもしれない。だから避けろよ」

「……」

「どうして笑ってやがる…!」



おっと自分でも気づかないうちに笑っていたみたいだ。ガレズの忠告を俺が守る必要はない。



「ー踊れ踊れ、復讐の輪舞(ロンド)を!鳴り響け!【暴虐王の風】」



技名では【暴虐王の風】なんて言ってるがそんな優しい規模の技ではない。この魔法には魔王の具現化がなされている。



魔王の具現化のことはノーラント王国に来る道中にマリリンから聞いた。そもそも魔王は人族が魔堕ちした魔族という種族の王だ。人族と魔族は根本的には同じで人の姿を為している。しかし、明らかな肉体的差が生まれている。一般的に人族の個体の強さを一とすると魔族の個体の強さは二十とされている。つまり、魔族一体に対して二十の人族、魔族が二体に対しては四十の人族が必要だ。そんな魔族の中でも突出した強さを誇る者が魔王を名乗る。魔王自体は沢山いるため、人族が存在を確認次第異名を名付けられ、それを以後自ら名乗るのが普通となってきている。暴虐王は風の魔法を極めし者らしい。魔王は倒されて死ぬと魂格が霊にまで落とされる。霊になっても力は失うことはないが制限がかけられる。他者の魔力で呼び起こされることによってこの世に具現化することが出来る。魔法を使った者の魔力の密度が濃いと魔王を取り戻し、運が良いと魔法を行使した者の身体に取り憑いたり乗っ取ったりすることが出来るらしい。



まぁ魔王の話を長く思い出すのも面倒だから随時少しずつおさらいしよう。とりあえず、簡潔に言うと、具現化された魔王が必要以上に力を手に入れて強い宿主を探して俺を見つけたようだ。そこまでの判断しか出来ないこの魔王は余程の身の程知らずかバカなのだろう。



フェイレスは魔力の使い過ぎで気を失っているようでガレズが担いでいた。ガレズが何かを叫んでいるようだが風の音で聞こえない。暴虐王をどうするか決めよう。他人に魔王の霊と会話してるのを見られた日には天使が俺の元にやってくるかもしれない。そうなると今すぐにでも戦争が始まってしまう。準備を完璧にするためにも隠れて会話せねば。



俺はフィールド内で嵐が吹き荒れる中煙幕を五つ投げた。煙が風に巻かれ荒れ狂う風に黒色がついた。その間に暴虐王の霊魂だけを俺の影に入れ、自分も影の中に入った。



俺が入ってきた時には既に暴虐王らしき霊が目を瞑って胡座をかいていた。



「簡潔に言う。俺の部下にならないか?」

「なろう」



何も聞かずして受け入れるとはこいつはバカなのかもしれないな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ