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誤字はちょくちょく直していきますので何かあったらどんどん言って下さい。

オゴォオゴォ



うるせぇ!なんだこの断末魔の叫びのような声は。折角気持ちよく寝てたのに気分は最悪だ。俺は眠い目を擦りながら起き上がる。隣には気持ち良さそうに寝ているマリリンがいる。なんか無性にイラっときた。それよりもうるさいさっさと下に降りて原因を突き止めよう。



俺は下に降りて宿屋を一回出て、音源を探りつつ移動する。音源は宿屋の裏手からだった。そこには大きな鳥籠のような物が沢山あり、中ではブサイクな鳥が動いていた。ブサイクに似合って鳴き声もすごかった。



オゴォオゴォ



うぜぇ!この鳴き声本当に人の神経を逆撫でする。俺がどう処分してやろうかと思案していると、宿屋の裏口から昨日の料理長が出て来た。



「坊主、そこで何をしている」

「耳障りな鳴き声が聞こえたんでな、ちょっくら確かめに来た次第だ。こいつはブサイクな上に鳴き声も酷いんだな。良いとこないな」

「良いところはあるぞ。顔はブサイクだが丸焼きにすると、肉汁が染み出て来てとても美味い。それにこいつの卵は他の鳥よりも二回り大きい上に黄身が大きい。これでも高級な鳥なんだ」

「そうなのか。でも朝っぱらからあんな声で鳴かれたら嫌でも起きてしまうな」

「この鳥はこの国の料理に欠かせないものとなっているからどの家庭にも一匹はいる。早く慣れるのが一番だな」



そう言うって鳥籠の中から卵を沢山集めて裏口から戻って行ってしまった。昨日食べたのはこいつの卵か…。美味いから良しとしよう。俺は二度寝するには眠気がないから一回の食堂にやって来た。



「どうした。何か用か?」

「いや、どびっきり美味い卵料理をくれ」

「ふん、坊主のくせになかなか利口だな」



そう言って仕込みを早く終わらせて俺の朝食の準備に取り掛かってくれた。見所のある料理人だ。俺が楽しみに待っていると、寝ぼけているのかマリリンが目を瞑りながら一階に降りてきた。シャツ一枚という格好だ。さっきは布団を被っていたので服装まではわからなかった。どうやら下も履いていないようだ。



「トイレは上だぞ」

「うん」

「一人で行けるか?」

「ううん」



行けねぇのかよ!なんか今日は朝から心が荒れるぜ。マリリンの姿を見た料理長は鼻血を垂らしていた。料理中に余所見すんなや。俺はマリリンを二階のトイレの中に放り込んで一階に戻ってきた時には、ユニの父親がいた。



「おや、起きるの早いですね。普段から早起きなんですか?」

「いや、鳥の鳴き声が五月蝿くて起きた。あれは慣れそうにないな」

「あの鳥はニワトリと言います。リー君の住んでいた土地にはいなかったのかい?」



あれでニワトリか…。昔のことは研究してたこと以外全然覚えていないから知らなかった。この世界の鶏はあまり好きになれそうにないな。



「田舎から来たんだがニワトリは見たこと無かった」

「なんて名前の場所ですか?」



ユニの父親の目が一瞬細まったのを俺は見逃さなかった。疑うような目つきだった。出身が不明なやつ程不審なやつはいないからな。俺でも疑うと思うから仕方ないか。



俺がなんて答えようか迷って黙っていると、マリリンがキリッとして戻ってきながら言った。



「今はもう廃村になってしまったベルリアントですわ」

「え!?あの強者どもの集いし村と呼ばれていたベルリアント村ですか!!」



おい、大層な嘘をついたな。バレたらどうするんだよ。折角の良い人なのに殺さないといけないじゃないか。でも、便乗しとこう。俺は悪くないぞ、多分。



「あぁ」

「廃村になったとは聞きましたが理由を教えてもらえませんか?」

「それはですね。世界で最高峰の武人や魔法使いが揃うベルリアント村では力が全てでした。しかし、村と言っても皆が皆、自分のことを最強だと思い、お互いの因縁などを基に決闘を行っていました。その村は誰もが実力が伯仲しているからこそ保っていた為、パワーバランスが崩れる存在の登場により村が廃村になりました。そこで皆を軽く倒してしまったのがリーです。リーがすぐに答えられなかっのはこういう理由だからですわ。信じてもらえないかもしれませんがそれが事実ですわ」



ん?なんだか覚えがあるぞ。ノーレント王国に来る途中に一度だけ村に立ち寄った。決闘を一人一人申し込んでくる奇妙な村だったのを覚えている。あの村がベルリアント村だったのか。それならあながち嘘にはならないかも知れない。



「なるほど、超天才児なのですね」

「そうなりますわ。このことは他言無用でお願いしますわ」

「わかりました。料理長、あなたもですよ」



盗み聴きをしていたのか。隠すことはしてないけどな。料理長は急に話を振られてビクッと身体を震わせていたが、こちらに顔を向けるとロボットのようなぎこちない動きで、首を縦に振っていた。



「今日から学院生活ですよね?このご時世ですから身につけられることは身につけておくと良いです。いつどこで何が起こるかわかりませんからね」

「あぁ」



きっと第四次大陸争奪戦争のことを言っているのだろう。俺にとっては襲って来たやつが敵だ。例え何が起ころうとも、俺は自衛だけしかしないつもりだ。今の所はな。



「飯出来たぞ」

「マリリン、さっさと食べて道具を揃えて行くぞ」

「うん」

「ではごゆっくり」



そう言ってユニの父親は奥に戻って行った。



今は朝食を食べ終え、マリリンと買い物をしていた。俺は黒い装備を一式揃えた。黒いローブ、黒の靴、黒のズボン、黒のシャツだ。武器としては念の為に、ローブの中にナイフを仕込み、腰には武器庫を漁って見つけた刀身が黒い日本刀を差している。確か名前は【神滅刀(しんめつとう):混沌滅刀(カオススレイヤー)】だったかな。如何にも神殺しに向いてそうな名前だ。マリリンは外は黒で中が紫のローブを来て中には水着のような大胆な服装をしている。ただの変態にしか見えない。さっきマリリンに言ってみたが、何か嬉しそうにしてたので口を紡ぐことにした。靴は黒と紫のブーツだ。なんか毒々しいが気にしない。目立ちたくないが目立ちそう。買い物をあらかた終わらせたら学院に向かって歩き出す。



「やっと見つけたぞ凸凹コンビ」



えーと、なんとかって奴だ。面倒な奴会ってしまった。

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