幻想と現実
いつのことでしょうか。
こんな日があったのを覚えています。
それは風が優しく吹く日でした。
何があったのか、そこは人の子一人の姿もなくただ、茶色い瓦礫しかありません。
私はそこがとても不思議な空間のように思えました。
そこに一人の少女が訪れました。瓦礫と同じ茶色く長い髪を持った少女でした。
少女は表情を見せずに歩いていきます。
瓦礫の山をひたすらに、ただひたすらに歩いて行くのです。
瓦礫の山のちょうど中心まで来ると少女は周りを見渡します。
少女に表情はありません。何を考え思っているのかもわかりません。
しばらくすると、少女は何故か急にその場に泣き崩れましったのです。
私は不思議に思いそっと声をかけました。
すると少女は「私には見える。美しくも憎たらしいあの世界が」
私にはよくわかりません。少女は続けます「今となっては何故あんなに憎たらしいのかわからない」と。
「私は、美しいものがあの時はわからなかったと言うことか」と
少女に何が見えていて、何を言っていたのかは当時は何もわかりませんでした。
しかし、今となっては少し、ほんの少しだけわかる気がします。
私はたまにあの少女がいた瓦礫の山に行きます。
すると、何処からか楽しげな子ども達の声が聞こえてくるのです。人の営みが聞こえてくるのです。そこに、あの日の少女の姿が重なって見えて来るのです。
読んでくださりありがとうございます。
少女がなんなのか、瓦礫の山はいったい何なのか。等を考えていただけると幸いです。
捉え方は人によってそれぞれなのでいいと思います