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プロローグ 僕が運命を糧にした日
初めまして、遥瓶と言います。
この小説を、読んでいただけたら幸いです。
宜しくお願いします。
僕が地震嫌いになった理由。
ガタン――……。
机の上に置かれていた分厚い本が、机から落ち、乾いた音をたてた。
「―――……助、け……て」
それは、妹の琴を失ったから――…。
二年前のことだった――。
あれは、この長い世紀の中の、たったの二、三時間に過ぎない。
僕が向けた言葉のひとつひとつを、今でも鮮明に覚えている。
僕の妹の琴を失ってしまった日。
起きた事事のひとつひとつを、諄いくらい覚えていて。
忘れたくても、覚えている。
忘れてはいけないことだから。
右から左に ゆったりと流れる揺れ。
それはもう、一瞬で僕のしてきた何もかもを壊すものにすぎなかった。
僕は、もう、今に頼らない。
現実に満足しない。
運命や、奇跡を糧にして生きていく――。