Drは宇宙へ
あるところに博士が住んでいた。
そんな博士はある夢を持っていた。
それは、永遠に生きたい、そして宇宙に行ってみたい、と。
博士はどうにかしてそうはできないかと、いろいろな研究を長年の間していた。
コールドスリープ、テロメアなど不死に関わるいろいろな研究をしてみたが、
そう、うまくいかなかった。
研究に行き詰っていた秋の季節。気分転換に夜中、博士は望遠鏡のレンズを覗き込んで、カシオペア座を探す。
毎日のようにレンズを覗き込んで、宇宙を見ている博士にとっては見つけることはたやすかった。
それにこの日は天気もよく、くっきりと星座が見える。
天体観測を楽しんでいる時、博士は明らかに軌道から外れている人工衛星を見つけた。
「おそらく、人工衛星が落ちてきてるんだな」
博士は呟く。
それを見て、博士はあることを閃いた。
人工衛星に自分の意識を移してしまえばいいのだ。
博士はその研究に没頭し、ついに人工衛星に意識を移す装置を作ることが出来た。
そして博士はいざ自分の意識を人工衛星に移す時に不安が出てきた。
自分の身体を手放すことは本当に生きているといえるのだろうかと、ふと博士は思った。
しかし、ここまでやってきたという自負とついに不死になれる、そして宇宙への憧れがそれに勝った。
火星へ向けて博士の意識を移した人工衛星が発射される。
最初は博士もひたすら火星の回りを周回することを楽しんでいた。
しかし何十年も経つと自分が本当に生きているのか、博士は疑問を持ち始めた。
「同じ景色ばかり、もっと他の星も見たかった。話相手もいない。これで本当に生きているといえるのか?」