2、想われるキミ(3)
翌日
「おはようございます。壱垣先生」
朝一番に声をかけてきたのがなぜコイツなんだ
「おはよう・・・・」
「やだなぁ、そんな警戒しなくたっていいじゃないですか」
警戒するだろ
「・・・香、なんか言ってました?」
「は?なんかって」
「いえ、なんでもないです。じゃ先生また」
そう言うと、にっこりうさんくさい笑顔を残して去っていった
なんかって、なんだよ?
めちゃくちゃ気になるだろーが!!!!
カツカツカツカツ
カツカツカツカツ
ボールペンの音が職員室にひびく
壱垣をとりまくもやついたオーラのせいか、その壱垣の形相だろうか、周囲の教師は誰一人壱垣に声をかけることなく遠巻きにその様子を窺っていた
くっそ・・・・あんのガキ
絶対俺をおちょくってる!!!
むかつく
むかつく
むかつく
カツカツカツカツカツカツ
カツカツ・・・ピタっ
音が止む
腹が立つのは、あいつが香を好きなことじゃない
あいつが香と同じ『高校生』ってことだ
俺がいくら頑張っても埋められない差をあいつは簡単にクリアしてる
『年の差』
羨ましいんだ
ただ『高校生』ってことに
たとえば、俺が高校生で、
香と同じように制服を来て、
教室で授業をうけ、
一緒に帰って・・・
同じように時間をすごせたら
どんなに良かっただろう
それは不可抗力だってわかっている
わかっている
普通に
ただ
君が好きだ
と伝えられたら・・・
よかったのに・・・・
ほんと