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2、想われるキミ(2)
「はぁ・・・・」
「疲れてるの?いち」
「香」
食器を洗っていると背後に香が立っていた
「せっかく料理作ってあげたのに」
「いや、ありがと香。いまのはその、疲れてるとかそーゆうんじゃなくて」
「ほんとかなぁ」
「ほんとだよ!それより、あいつは?」
「すず先輩?」
「あ、あぁ」
鈴谷だから『すず先輩』か・・・
「帰ったよ。なんで?」
「いや、別に」
帰ったのか、ちょっとホっ
「?」
「・・・・仲イイのか?」
「うん。中学の時の先輩でね、けっこう仲良し」
「そっ、そうか」
無邪気に満面の笑みで笑う香
わかりやすくへこむ壱垣の後ろ姿
鈍感すぎる
わが妹ながら恐ろしい
壱垣なんてあんなにわかりやすいのに
二人の様子をこっそり盗み見ていた拓はそう思うのだった
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けっこう仲良しってのは、どのくらいの仲良しを表現するのか
自宅に帰ってきてパソコンにむかい翌日の授業のプリントを作成しながらふと香の言葉を思いだした
けっこう・・・・
ふつう以上・・・・
ライクよりラブ・・・・
それはつまり大好き
まさか
「付き合ってるのか?」
壱垣の考えはどんどん悪いほうへ進んでいた