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なつまほ  作者: 沙φ亜竜
終章 懐かしい思い出は、かけがえのない魔法なのです~
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-2-

「成仏していったね」

「そうですね~」


 長いあいだこの小学校を見続けてきたマナビーヤさんが離れていくのを見送って、わらちは少し、ジーンと胸が熱くなっていました。


 ……って、あれ?


「やぁ、どうも」

「はみゅ~ん、どうしてここにいるんですか!?」


 なにやらいきなりわらちの隣に現れていたのは、もう成仏したはずの海路潮騒くんでした。


「ん? だってさ、ほら、ぼくにはやることが残ってたから。おじさん……町長さんの夢枕に立って、爆破の件とか、いろいろと働いてもらわないといけないでしょ?」

「あ~、確かにそんなことを言ってましたですね~」


 だけど、本当にそこまで町長さんの思考を操作できる霊力を、潮騒くんは持っているのでしょうか。


「ま、頑張ってどうにかするよ」


 わらちの考えていることがわかったのか、平然とそう言ってのける潮騒くんでした。

 潮騒くんはさらに言葉を続けます。


「それに、蚕ちゃんにもちゃんとお礼を言ってなかったからね。ほんとに、ありがとう」

「いえいえ。いいんです。それがわらちの役目ですから」


 わらちの答えに、潮騒くんはいつもの優しい笑顔を送ってくれました。


「それにしても、ほんとによかったんですか? 笑歌ちゃんが潮騒くんのことを忘れて、他の人と幸せになっても」


 最後にひとつだけ、と思ってわらちは質問をぶつけてみました。


「もちろん嫌だよ。そんな相手ができたら、呪っちゃうかもね」


 にっこりと笑顔のままの潮騒くんからは、そんな答えが返ってきてしまいました。


 ……う、うわ~、この人、悪霊になるタイプの人ですか!?

 なんて焦っているわらちを見て、


「あはははは!」


 と大声で笑い始めました。


「大丈夫。ぼくは町長さんのほうの用事が済んだら、今度こそ成仏するつもりだから。そのあとはただ、空から静かに江窪さんのことを見守ることにするよ」

「そう、ですか。安心しましたです!」

「……まぁ、恨みの念とかは、飛ばしちゃうかもしれないけどね」


 にっこり。

 笑顔の裏に隠れた鬼が、ちょっとだけ見えたような気がしました。

 笑歌ちゃんも、なんだか大変そうです。


 でも、

 なるようにしかなりません。

 そんなもんです、世の中は。


「あはは、まだ小さいのに、年寄りじみてるね、蚕ちゃんは。さすが、『懐古ちゃん』っていうだけはあるね」


 潮騒くんはそう言い残すと、すーっと姿を消していきました。


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