本日のお姉様は、少しだけ優しいです。
ロゼリアの前世はフローラも推しであるため、会話の度に挙動不審になるのを抑えてます。
フローラは屋敷のバラ園を歩いていた。
綺麗に整えられた庭を進んでいくと、奥に小さなベンチがある。
《大きくなったら……約束!》
幼い頃、誰かと交わしたはずの言葉。
その記憶だけは残っているのに、誰と交わしたのかが思い出せない。
胸の奥に引っかかるような感覚だけが、ずっと残っていた。
もやもやとした気持ちを抱えたまま立ち尽くしていると、背後で小さな物音がした。
振り向くと、そこには驚いた顔のロゼリアが立っていた。
「ロゼリアお姉様」
「フ、フローラ…!」
どこかバツの悪そうな顔で視線を泳がせるロゼリア。その様子を見て、フローラの表情がわずかに曇る。
(私、お邪魔だったかしら……)
「お姉様もお散歩ですか?それでは、私は失礼しますね」
スカートの裾を軽く持ち上げ、ロゼリアが来た方へと歩き出す。
一歩踏み出した、その時だった。
「ま、待って……!フローラ」
不意に腕を掴まれた。
思ったよりも強い力に驚くが、その力はすぐに緩められる。
フローラが振り返ると、これまで交わらなかったロゼリアの視線が、ほんの一瞬だけ重なった。
「……これ」
頬を赤らめながら差し出されたのは、先ほどまでロゼリアが羽織っていたストールだった。
「暖かいとはいっても、まだ肌寒いでしょう。
……体調を崩したら大変だから」
(お姉様が…私を心配して…?)
ストールを受け取りながら、フローラは思う。
(お姉様。可愛すぎませんか)
「ありがとうございます。ロゼリアお姉様」
礼を言った瞬間、ロゼリアがわずかに目を見開いた。
どうしてそんな顔をするのだろうと。フローラは首を傾げる。本人は気づいてはいなかった。
その時のフローラは――
嬉しそうな満面の笑みを浮かべていたのだから。
この時のロゼリア▶︎フローラが風邪引かないか純粋に心配。バラアカでは無表情ヒロインのフローラがスチル以外で見せた笑顔に動揺中。




