表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/4

本日のお姉様は、笑みを見せてくださるようになったそうです。

無事に転職出来た関係で、全然筆が進みません!

閉じていた瞼に光が差し込む。

まるで朝を告げる合図のように、まどろんでいた意識がゆっくりと覚醒していく。


目を開けると、すぐそばで侍女のミアンが支度を整えていた。


「おはようございます。フローラ様」


「……おはよう」


ミアンに櫛で髪を梳かしてもらいながら、フローラはふあと小さく欠伸を漏らす。


「まったく、ロゼリア様を見習っていただきたいものです」


「……お姉様は?」


「いつもの場所に、もういらっしゃいますよ」


そう言われて窓の外へ視線を向ける。大きな木の影の下、ベンチに座るロゼリアの後ろ姿が見えた。


ロゼリアはいつも決まって、そこで読書をしているのだ。


淡い紫色の髪が朝の光を受け、少し銀色に近い色合いに輝いていた。フローラは、その髪色を幼い頃から羨ましく思っていた。


ローゼンベルク家では、血が濃いほど髪は銀色に近づくと言われている。


母が赤みの強い髪色のため、ロゼリアは淡い紫色。そしてフローラは、少し桃色がかった紫の髪だった。


年齢の差もあるのだろう。

けれど昔から、ローゼンベルク家の跡取りはロゼリアだと皆が口にしていた。


「でも、最近のロゼリア様。どこか思い詰めていらっしゃるように見えるんです」


「お姉様が?」


「考え事が増えたというか……。それに、前より笑みを見せてくださるようになりました」


ミアンの言葉に、フローラは一瞬だけ動きを止めた。


「……いま、なんて言ったの?」


「え? 考え事をされていると――」


「その後よ」


「ああ!ロゼリア様が、以前より笑みを向けてくださることが増えたんです。何かいいことでもあったのでしょうね」


幼い頃から、ロゼリアとフローラのそばにいる侍女ミアンがそう言うのだから、間違いではないのだろう。


(ど、どういうこと……?)


「わ、私は……幼い頃に一度微笑まれただけなのに! ロゼリアお姉様の笑顔なんて、ほとんど見たことないのに!」


思わず声を荒げたフローラに、ミアンはきょとんと目を丸くする。木陰のベンチでは、ロゼリアがいつものように本を開いている。


遠くからでは表情までは見えない。けれどその横顔は、昔と同じく静かで、近寄りがたい雰囲気を纏っていた。


(……私には、あんな顔しか見せてくれないのに)


「フローラ様は本当に、ロゼリア様がお好きですね」


混乱して考え事に没頭しているフローラには、その言葉は届かなかった。

この時のロゼリア▶︎ノートにこれからの計画を記入していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ