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詩歌集2

夜空に還る蛍火




 夜が来た

 星明かりも

 月明かりもない

 真っ暗な夜が来た


 普段なら

 真っ暗な夜は

 ほとんどの人々は

 歓迎しない

 けど


 今日は違う

 今日は蛍火が還る日だから


 蛍火が還る夜は

 星明かりも

 月明かりもない

 真っ暗な夜がいい

 その方が

 みんな夜空に還りやすい

 そう

 昔から言われている


 真っ暗な夜が来ると

 村の人々は

 蛍火の入った虫籠を持って

 村の真ん中に集まる


 ほわりほわり

 虫籠の中で明滅する蛍火

 真っ暗な夜を

 優しく仄かに照す


 21時になると

 村の人々は

 手に持つ虫籠を一斉に開ける


 すると

 開けた虫籠から

 一斉に蛍火が出てくる

 蛍火が

 夜空に昇っていく


 ほわりほわりと

 明滅しながら


 ほわりほわりと

 真っ暗な夜を

 優しく仄かに照しながら


 蛍火が

 夜空を昇っていく


 せまい虫籠に閉じ込められていた

 蛍火

 やっと自由になれた

 蛍火


 ほわりほわり

 ほわりほわり


 蛍火が

 夜空へと還っていく

 

 村人たちは

 夜空を見上げ

 蛍火を見守る


 またいつか

 生まれ変わったら

 会えますように

 と


 泣きながら

 祈りながら

 願いながら


 村人たちは

 夜空そらに還る蛍火を

 見守る──




 

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― 新着の感想 ―
暗がりの中の淡さのようなものを感じました。何かを見送るというのは、こんな感じなのでしょうか。何かが遠くに行ってしまうのは、淡くもあり、儚くもあります。
2024/12/01 13:06 退会済み
管理
これはね~。 凄く良くできた詩だと想いますよ。本当。 発想の素晴らしさと、物語性のある詩に小説みを感じました。 螢火を送る不思議な村の風習と美しい情景。 かつて生きて居た人たちが蛍になって蘇り、しばら…
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