表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/161

92 学園祭準備期間①




 学園祭の準備期間に入ると校内はもうお祭り騒ぎだ。

 生徒たちはお祭りのテンションで賑わい、そこかしこで模擬店を作る作業音が鳴り、いつもの日常風景は少しずつ学園祭の景色に変わっていく。


 体育祭もそうだけど準備期間って静かな高揚感が味わえるから楽しいよね。


 パシャ


 そんな準備風景を写真に残すのも、僕ら総務委員の役割だ。


「おし、ここら辺はいいだろ」


 西木野さんはカメラで撮ったものを確認して次の場所に向かう。

 総務委員として写真撮影を任された僕、五十鈴さん、西木野さんの三人はカメラを持って校内を撮影しながら歩き回っている。


「次は五十鈴さんがやってみる?」


「う、うん……」


 西木野さんからカメラを渡される五十鈴さん。

 校舎は一通り撮り終わったから、次は中庭に移動だ。


「あ、五十鈴さんだ…」

「なぜ一番撮られるべき本人が撮影を?」

「猫の仮装してくれるのかな」


 いつもの通り、五十鈴さんが歩くと周囲の人の視線を集めてしまう。ていうか猫カフェの噂がもう学校中に広まってるのか。


「……」


 五十鈴さんは震える手でシャッターを押す。

 きっとブレブレだろうな…


「それにしてもすごい規模ですよね」


 中庭を見回して僕は改めて感心する。

 まだ準備中だけど、模擬店の数もクオリティも学生レベルを超えている。ただ歩き回ってるだけでわくわくしてきた。


「中等部と大学部も気合入れて準備してるから、暇があったら行ってみたいな」


 そう言う西木野さんは落ち着いた様子だ。


「それと学園祭は毎年トラブルが起きるらしいから気を付けないとね」


「トラブルですか?」


「華岡の天才は加減を知らない奴もいるから、度が過ぎるイベントを起こす人もいるんだよ。二年前に学園祭の出し物が原因で改装工事が行われたんだって」


「…なんだか怖いですね」


 何をやらかしたら改装するほどの事態になるんだ。


「五十鈴さんが変なことに巻き込まれないよう気を付けないとね」


「そうですね」


 会議の度に五十鈴さんの勧誘は後を絶たないし、変なイベントに関わらないよう学園祭が終わるまで警戒しよう。


「……」


 すると前を歩く五十鈴さんは中庭に設置された掲示板の前で足を止めた。


「どうしました?」


「これ……」


 五十鈴さんが指さすポスターには、可愛らしい馬の絵が描かれていた。


「馬術部の出し物ですね」


「うん……うちの出し物と似てる」

 

 馬術部は競馬だけでなく、馬と触れ合えるイベントもあるみたいだ。確かに動物を取り扱うという点ではうちの猫カフェと同じだ。

 猫と馬…どっちの方が人気かな。


「そういや出し物の売り上げ、最終日にランキングで発表されるらしいぞ。どっちが勝つか楽しみだな」


 西木野さんは何故か対抗心を燃やしている。


「まぁうちの優位は揺るがないでしょう」


「どうしてです?」


「なんたってうちには五十鈴さんがいるんだから」


「…馬と猫、関係ないじゃないですか」


 でも五十鈴さんが本気で宣伝したら千客万来だろうな。


「さて、撮影はこれくらいにしてうちのクラスの様子でも見に行こうか」


 一通り写真を撮り終えたところで、西木野さんはそう提案する。


「そうですね」


「うん……!」


 僕らのクラスの準備ももう始まっている。

 芸術室で見つけた道具は役に立ってるかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ