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77 体育祭の準備①




 学校生活が再開してすぐ、僕たちクラス委員長は頻繁に呼び出され委員長会議が開かれた。後期になると学校行事が増えるから委員長は大忙しになるんだ。僕らはまだ一年だから大きな仕事は任されないけど、ちゃんと役割と仕事は決められている。


 数あるイベントの中で特に力を入れるのは、体育祭と学園祭だ。


 どの学校にもある定番な学校行事だけど、数多くの天才が集まる華岡学園では一味違うイベントになる。


 一般的な体育祭はクラスごとに色で分かれて対決するんだけど、華岡学園では部活動同士の対決がメインになる。華岡学園はあらゆるスポーツ競技の天才たちが集まっているから、そんな天才同士が専門外の競技で勝負するんだからものすごく白熱するらしい。


 要するに午前中のクラス対抗はおまけで、午後からの部活対抗こそが本命。


 そんな華岡の体育祭だけど僕らのやることはシンプル。


 まずクラスで役割分担。

 競技と応援の練習。

 道具やらの準備。

 ライン引きやテント設営などなど…


 一年のクラス委員長である僕たちの最初の仕事は、クラス内で体育祭実行委員を決めることだ。華岡のイベントは規模が大きいから、委員長と実行委員で別々の仕事が用意されている。


「イベント事ならこの俺に任せてくれ!」


「みんなで盛り上げていくのだ~」


 そこで名乗りを上げたのは、普段から男子と女子の中心にいる池永くんと野田さんだ。なんでも二人がクラス委員長をやらなかったのは、イベントの実行委員になってクラスを盛り上げたいかららしい。


 二人のおかげでうちのクラスは安定感があるんだよね…五十鈴さんが絡まなければだけど。





「それでは体育祭で出場する種目を発表します」


「名前と種目を言うから、覚えておくのだ」


 池永くんと野田さんが黒板の前に立って話し合いを始める。


 今日は体育祭で出場する競技を決める日だ。

 決め方は紙にやりたい種目を第一希望~第三希望まで書いて、実行委員がみんなの要望を叶えられるよう振り分ける。


 これからその結果発表が始まる。

 

「……」


 五十鈴さんは静かに自分の名前が呼ばれるのを待っていた。

 事前に話し合ってないから、五十鈴さんがどの種目を希望したのか僕は知らない。ただ体力的なハンデがあるから体力勝負の競技は避けているはず。


 果たして何が選ばれるか…


「園田くんは障害物競走だね」


 あ、僕の種目が決まった。

 第二希望が通ったか…悪くない。


「い、五十鈴さんは二人三脚なのだ」


 続けて五十鈴さんの種目も決まる。


 二人三脚はパートナーと息を合わせて足を動かすのが重要な競技。体力や足の速さはそれほど重要じゃないから、退院したての五十鈴さんでも安心だ。

 問題は相方だけど、誰が選ばれるかな。


「それで五十鈴さんのパートナーは出雲さんなのだ」


 ………


 五十鈴さんと出雲さんの二人三脚。

 これは安心してもいいのかな?


「以上で終わりだけど、最後に対抗リレーに出る人を決めます」


 種目発表を終えると池永くんは話を次に進める。


「午前の種目は遊びみたいなものだけど、最終競技のクラス対抗リレーはかなりガチらしい。クラス内で最速の四人を選ぶよう言われてる」


 午前中の最後を締めくくるクラス対抗リレー。

 各クラスの瞬足が集まる最後の戦いは、確かに盛り上がりそうだ。僕と五十鈴さんには無関係な舞台だけどね。


「そこで速川さんがリーダーになって、走るメンバーを決めてほしいのだ」


 すると野田さんが昴を名指しする。


「え、いいの?」


「速川さんの噂はいろんな部活で聞いてるのだ。体力測定も学年でトップだし、これ以上の適任はいないのだ」


 幼馴染の僕は子供の頃から知ってたけど、昴の運動神経は同年代の中でも頭一つ抜けている。それは天才が集まる華岡学園でも同じらしい。


「残り三人かぁ…そうだね~」


 昴は意気揚々と立ち上がり、クラスの面々を見回す。

 誰を指名するつもりなんだろう…やっぱり運動部の顔見知りとかかな。


「…」


 そう思っていたら昴と僕の目が合った。


「じゃあ庭人くん、涼月くん、五十鈴さんの三人に決めた!」

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