28 風邪で休んだ園田くん
身体測定があった次の日。
そろそろ学校に行く支度をしないといけないんだけど…
「…だるい」
体が重い…やっぱり風邪を引いてしまった。
風邪を引くなんて何年ぶりだろう。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
ベッドで横になっていると、妹がノックもしないで部屋を覗きにきた。
「大丈夫だよ」
体温は37.4°と微熱。
僕は今まで風邪で苦しんだことがないくらい体が丈夫だ。この程度なら大して辛くもないし、寝てれば明日には回復する。
「学校には連絡しといたよ。スポドリとかおにぎり買ってきたから、食べれたら食べてね」
「ん…悪いな。そろそろ学校行かないと遅刻するぞ」
「ちゃんと水分取るんだよ~」
そう言い残して妹は学校に行った。
さて、何しようかな。
特に眠くもないから、横になっているだけだと退屈。ゲームでもしようかな…いや、なるべく早く風邪を治したいから大人しくしているべきか。
うーん…
五十鈴さん大丈夫かな。
僕なしで学校に通うのは今日が初めてになるんだよね。でも今の五十鈴さんには友達がたくさんいるから、もう僕のサポートなんて必要ないはず。
…いや、卑屈になっちゃダメだ。
僕にしか出来ないことはまだある。
そうだ、やりたいことノートについて考えよう。
他にどんな内容があったっけ……そうだ、確か勉強会をしたいとか書いてあった。もう少しで中間テストのテスト期間になるから、その時に五十鈴さんがみんなを誘えればいいんだけど…まだ無理そうだな。
やっぱり二人だけであのノートをコンプリートするのは困難な気がする。西木野さんとかが味方になってくれれば頼もしいけど、五十鈴さんはノートのことを隠したがってる。
そこでふと、あることが気になった。
あのノートを一緒に書いてくれた先輩って誰なんだろう?
病院の知り合いってことで間違いないはずだけど、今まで一度も会ったことないんだよね。五十鈴さんの口からはあまり語られないし。
五十鈴さんについて知らないことはまだまだ多いな。
…あのノートのタイトル、最初は“生まれ変わったらやりたい100のこと”だったんだよね。なんであんなタイトルにしたんだろう。
あ、そういえば五十鈴さんに退院祝いのプレゼントを用意してたんだった。入学初日があれだったし、ずっと慌ただしかったから渡すタイミングを完全に逃してしまった。今更渡すのはなんか恥ずかしい…
………
なんだか僕、五十鈴さんのことばかり考えてるな。
※
いろいろ考えていたら、いつの間にか寝ていた。今の時間は十時だから一時間くらい寝たか。
ピロリン
「ん?」
するとスマホからにゃいんの通知音が鳴った。
本来のにゃいんの通知音は「にぁーん」と猫の声が鳴るんだけど、男子のスマホから「にぁーん」は正直恥ずかしいから設定で音を変えている。
「あれ…西木野さんからだ」
西木野さんから僕宛のにゃいんがきていた。
メッセージにはこう書かれている。
『五十鈴さんがいなくなったんだけど』