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23 委員会




 ついにうちのクラスで、委員会を決める日がやってきた。


「うちの学校はすごい種類の委員会があるから、もしやりたいものがあったら後で先生に伝えてください」


 そう言って担任の先生はプリントを配る。

 プリントには各委員会の名前がまとめられていて、その種類は三十以上。学級委員、副学級委員、美化委員、飼育委員、図書委員、風紀委員、放送委員、掲示委員、学園祭実行委員…他にもいろいろある。


「まずは必ず決めないといけない役員を決めていくけど、最初に学級委員長を決めちゃおうか。誰か立候補してくれる人はいませんか~?」


「…」

「…」

「…」


 先生は希望者がいないか確認するが誰も手を上げない。

 この展開はどの学校も同じなんだな…しかも華岡学園の学級委員はかなり大変らしいから、軽い気持ちで引き受けることは出来ない。


「…」


 僕は隣の五十鈴さんをチラ見する。

 確かやりたいことノート、二ページ目に“委員会に入る。”って書いてあったはずだ。委員長は大変な仕事だけど、もしやり遂げれば大きな達成感を得られる。


「……」


 だが五十鈴さんは動かない。

 緊張して手が出せないのか、他にやりたいものがあるのか…委員会について事前に話し合っておけばよかった。


「個人的には西木野さんがやってくれると助かるんだけど」


 痺れを切らした先生がそう告げる。

 西木野さんは今までずっと先生のサポートをしていたから、当然の指名だろう。交友関係も広いからみんなも納得している。


「えー名指しですか」


 先生が相手でも物怖じせず、嫌そうな声を上げる西木野さん。


「西木野さんがやってくれると、先生嬉しいな~」


「引き受けてもいいですけど、その代わりに男子の学級委員と副学級委員は私が指名していいですか?」


「ええ、いいですよ」


 西木野さんは学級委員を引き受けた。

 男子学級委員と副学級委員か…誰を指名するんだろう。


「園田くんと五十鈴さんがいいでーす」


「!?」


 西木野さんの人選にクラス全体がざわつく。


 僕と五十鈴さん!?

 そんな話、聞いてないぞ。


「えっと…園田くんと五十鈴さんはそれでいい?」


 先生は僕らに確認を取る。

 そんな唐突に迫られても…


「……」


 しかし、五十鈴さんは迷うことなく頷いている。


「…あ、えっと…やります!」


 だったら僕も引き受けるしかない。


「それじゃあ次の委員会を決めましょうか」


 そのまま先生は委員会決めを続けた。





 委員会決めがあった日の放課後。


「…じゃあ委員長をやることは、事前に二人で決めてたんですね」


 僕らは掃除をしながら、こうなった経緯を西木野さんから聞いた。


「私が学級委員に指名されたら二人を巻き込んじゃおうかな~って、五十鈴さんに冗談を言ったんだよ。そしたらなんかそうして欲しそうな目で見てきたから、実行に移した」


「なら僕にも教えておいてくださいよ…」


「ごめんごめん。まあ肩肘張らずに楽しくやろうよ」


 西木野さんは軽いノリで言ってくる。

 委員会なんてまとめ役、今までやったことないから不安だな…


「園田くん、がんばろ……!」


 動揺している僕と違って、五十鈴さんはやる気に満ち溢れている。


「みんなで協力して、素敵な学校生活にしよう……!」


「…」


 なるほど、それが五十鈴さんにとっての理想の委員会なんだな。

 それならば是非もない。


「はい、がんばりましょう」


 僕も気合を入れ直す。

 五十鈴さんのことだから、ただ委員会に入っただけではノートにチェックは入れないはず。やりたいことは悔いを残さずやり切ってこそ達成されるのだから。


「明日は身体測定と体力測定があるから、早めに行って案内プリントを受け取りに行こうね」


 早速、西木野さんから委員長の仕事がきた。

 五十鈴さんと同じ委員会になれたのは嬉しいけど、期待に応えられるよう全力を尽くさなければ。

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