17 学園祭のお知らせ
体育祭に比べて球技大会の規模はそれほどではないけど、スポーツの天才たちによる野球試合は大いに盛り上がった。結果としては優勝は逃したけど、悔いのない楽しいイベントだった。
次は体育祭でリベンジだと朽木さんを含める一部のクラスメイトが盛り上がっている中、クラス委員である僕たちは学級委員会に呼び出された。
「それでは学園祭の企画書を配ります」
生徒会長からプリントが配られる。
どんな用かと思ったら学園祭の企画?
まだ体育祭の準備だって進められてないのに、いくら何でも時期が早すぎないか。一年の頃だって夏休みが終わった後くらいに招集されたのに。
「というのも今年の文化祭、大学部がすごいやる気なんだ」
生徒会長は話を続ける。
「大学部のいくつかのサークルが高等部も巻き込んだイベントを起こすつもりで、規模と予算も例年より大掛かりになるらしい」
なんと…去年の学園祭だって凄まじかったのに、今年はそれを上回るのか。
「だから先のことを想定して、クラスのみんなと話し合ってほしい」
学園祭についての話は以上だ。
一年生の頃、僕たちのクラスは猫カフェを出店してそこそこの人気と売り上げを出した。それも猫と意思疎通ができる天才がいたから。つまり今年はまったく違う、今のクラスだからこその出し物を作らないといけない。
となると…あの人の力を借りたいな。
「……」
隣の五十鈴さんと目が合った。
どうやら考えていることは同じみたいだ。
※
話し合いが終わったら一旦教室に戻るため、僕らは校舎の連絡通路を通って帰路につく。
「今年の学園祭はどうなるんでしょうね」
「わくわくする……!」
「ふむ…去年の猫カフェは神だったが」
僕、五十鈴さん、出雲さんは三人して浮かれていた。
小難しいことを考えなければ学園祭は華岡生徒にとって待望の学校行事だ。大学生が計画しているイベントも、新一年生たちの出し物も、どれもが楽しみで仕方がない。
それに学園祭の準備はクラスの親睦を深めるのにもってこいだ。
「さっそく話し合いの場を設ける計画を立てましょうか」
「その時は筒紙さんにも声をかけよう……」
やっぱり五十鈴さんも同じことを考えていた。
「ただ筒紙さんの事情については知らないということで」
「うん……」
僕と五十鈴さんは小声で確認する。すっかり筒紙さんをターゲットにしているけど、これが余計なお節介にならないといいな。
「…園田と五十鈴殿は月を重ねるごとに仲を深めているな」
すると背後から出雲さんがそう呟く。
「私しか見ていないとはいえ、肩をピッタリとくっつけてこそこそ話とはな」
「…あ」
「……!」
無意識に五十鈴さんと距離を詰め過ぎていた。
慌てて二人で距離を空ける。
「すみません…」
「う、ううん……」
「…」
「……」
ここ最近、五十鈴さんとの距離感が曖昧になってきた。変な気を起こすつもりはないのに妙に意識してドギマギする。
「私は何を見せられているんだ…」
出雲さんは呆れたように肩をすくめていた。




