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107 やり遂げたクラスメイト




 ある日の放課後。

 五十鈴さんのクラスメイトたちは教室に残って、久しぶりの話し合いをしていた。


「俺たち…ついに成し遂げたんだね」


 まずクラスの男子代表である池永くんが話し始める。


「あの五十鈴さんと距離を縮めることが出来たんだ!」


 その一声に男子たち全員が歓喜の声を上げた。


 今回の学園祭でクラス全員が少なくとも一回、五十鈴さんと学園祭を歩くという快挙を成し遂げた。それは全校生徒が羨む所業である。


「俺は三回も一緒に学園祭を回れたぜ」

「ふ…俺なんか五秒も目を合わせられた」

「拙者は向かい合って食事しましたぞ」


 男子たちはどれだけ五十鈴さんと関われたかで自慢大会を始めていた。


「黙って聞いていたら…片腹痛いね!」


 そんな男子たちの間に、野田さん率いる女子組が乱入してきた。


「私なんて五十鈴さんの腕に抱きついたもん」

「うちは喫茶店のケーキであーんした!」

「知ってる?五十鈴さんって熊のぬいぐるみ好きなんだよ」


 女子たちはかなり大胆に五十鈴さんとの距離を縮めていた。

 こればかりは男子には真似できない。


「いやいや、だが俺たちだって…!」


「私たちなんて~!」


 こうして放課後の下校時間まで、クラスメイトたちは五十鈴さんの話題で盛り上がった。当然だがこの話し合いに五十鈴さんグループは参加していない。





「盛り上がってるな」


「前より団結力が高まってるね」


 そんな教室の様子を廊下から覗き見している西木野さんと城井くん。


「西木野さんも輪に加わったら?」


「いや…私が今までのこと自慢したら大人げないでしょ」


 西木野さんは肩をすくめる。

 これまでの五十鈴さんとの思い出を語ってしまったら、折角の自慢大会に水を差してしまうだろう。


「とにかく誤解が解けて良かったよ」


「でもクラスの外では、相変わらず冷徹なお嬢様だって誤認してるよ」


 城井くんは集めた噂話から事実を述べる。


「別にいいんだよ、赤の他人なんて」


「…それもそうだね」


「もうすぐ進学だけど最後にクラスが一つになってよかったわ」


「ん、面白いクラスだった」


 そう言い残して西木野さんと城井くんは、賑やかな教室を横目にこの場から立ち去るのだった。

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