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96 学園祭①




 学園祭一日目。

 総合体育館で派手な開会式が終わり、いよいよ学園祭の開始だ。


「さて、ついに始まったな」


「はじまった……」


 外に出るとすぐ総務委員の西木野さんと五十鈴さんで集まった。


「ところで園田、今日は例の妹ちゃんは来るのか?」


 まず西木野さんは昨日の件を確認しにきた。


「いえ、今日は止めさせました。初日は僕らも多忙ですから」


「まぁ妥当だわな」


 前日は五十鈴さんグループや妹と一緒に学園祭を回る約束をしたけど、それはやることをやって時間に余裕ができたらだ。

 学園祭初日は僕らも間違いなく右往左往するだろうから。


「まず、何からやる……?」


 既にお祭り気分の五十鈴さんはそわそわしている。


「取りあえずうちのクラスに向かいながら、軽く中央広場で写真を撮るか」


 西木野さんはサクサクと予定を決める。


「そんでクラスの様子を見てからは自由時間にしよう。でも午後は多目的ホールでイベントが開かれるから、その時にまた集合しよう」


「了解です」

「りょうかい…」


 こうして脇役の僕らの学園祭は静かに始まっていく。





 そんなわけでまずは中央広場に到着した。


「珍しい出店ばかりですね」


 広場は飲食関係の出し物が中心なんだけど、こういうのって品物が被ったりするものだ。でも見渡す限り全ての屋台が見たことないものばかり。

 大勢の天才が並ぶと世界の広さを思い知らされる…


「オブジェクトもしっかり完成してるな」


 西木野さんは大きな建造物を写真に収める。

 きっと芸術家のあらゆる方面の天才が手掛けたのだろう、学園祭を彩るアートや建造物は見ごたえ満点だ。


「人が沢山……」


 そして五十鈴さんは大勢の人の視線に怯えていた。

 言うまでもないけど入場チケットは一瞬で完売、登校したとき表門にコミケみたいな大行列ができてたのは目を疑った。


 これが華岡の学園祭か…


「少し早いけど昼食でも食べるか」


 すると西木野さんは平然とそう提案する。


「西木野さんはどんな時でも冷静ですよね」


「大人……」


 僕と五十鈴さんはこの状況に圧倒されてばかりなのに。


「平静を装うのがうまいだけだよ。内心では飛び跳ねるくらいテンション上がってるから」


「…そうは見えませんがね」


「それより何を食べようか悩むな~」


 西木野さんはしおりを開きつつ辺りを見回す。


 飲食店の出店は本当に種類豊富だ。

 定番の焼きそばにタコ焼き、串もの、ジビエ、ラーメン、激辛料理…食虫料理なんてのもあるぞ。五十鈴さんのやりたいことノートに“学園祭で全ての模擬店を回る。”って書いてあったけど、思ったよりもハードル高いぞ。


「それじゃあ適当に物色するか」

「そうですね」

「うん……」





 数ある出店の中、僕は焼きそばを注文した。

 お品書きにはそばの麺に拘り、数種類のスパイスを調合した特性ソースが特徴なんだとか。学生の屋台でそこまでするのかと思ったけど、出店してる人が焼きそば料理の天才なら拘って当然だ。


 …うん、すごく美味しいけど想像してた焼きそばとは違うな。


「美味いけど焼きそばっぽくはないな」


「不思議……」


 焼きそばの味見をした西木野さんと五十鈴さんも同じ反応だ。

 

「まぁ普段食べられないものを食べるのもお祭りの醍醐味だからな」


 そういう西木野さんはトーフジョーという謎の食べ物をチョイス。味見させてもらったけど、触感が楽しい料理だった。


「初めて食べるものだらけ……」


 五十鈴さんは一口サイズのタンドリーチキンを選んでいる。これも味見させてもらったけど、肉もスパイスも拘ってるのが分かる。


 どれも手の込んだ素晴らしい料理だけど、主張が強すぎて舌が疲れるな。


「さて、そろそろ猫カフェの様子でも見に行くか」


 食べ終えた容器をごみ箱に捨てて西木野さんはそう切り出す。


「猫の調子も気になりますからね」


「楽しみ……」


 僕と五十鈴さんも後に続く。

 果たしてうちのクラスの出し物は繁盛しているだろうか。


投稿時間と順番を間違えました、すみません!

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