22 クリスマスの思い出
「ここまで本格的なクリスマスパーティーってはじめてかも」
テーブルに並べられた料理の数々を見て、コズエは感動に瞳を潤ませていた。
彼女の家庭ではケーキ屋さんのクリスマスケーキと某社のフライドチキンがクリスマスのメインだった。しかし目の前にあるのは、縞柄鳥の丸焼きに、ローストビーフ、ケーキはブッシュ・ド・ノエルだし、ツヤツヤとした焼き上がりの駿足鳥の足はまるでマンガ肉のようだ。他にもパーティー向きな料理がテーブルに所狭しと並べられていた。子どもの頃にアニメで見たクリスマスディナーを前に気持ちが高揚するのも仕方ない。
「本格的っていうなら、シュトレンかパネットーネじゃないかしら」
サツキは母親と世界のクリスマスケーキを作っていた。もちろん子どものころに食べた砂糖のサンタをのせたケーキも好きだ。異世界ではシュトレンよりもスーパーで買うクリスマスケーキを懐かしく感じるのだから不思議だ。
「俺は美味い唐揚げが食べられればそれで良かったかな」
ヒロの家では大量の唐揚げを食べるのがクリスマスだった。
「フライドチキンとかローストチキンじゃないの?」
「……鳥の丸焼きなんて作ったら、一人一羽は食べるから経済的じゃないって母さんがね」
食べ盛りの三人兄弟を相手に、安い鶏胸肉で作った唐揚げで誤魔化していたらしい。
「俺んちも鳥祭りだったなー。某社のフライドチキンだけど。パーティー用のバレル抱えて食って、姉ちゃんにすげー叱られた」
チキンを独占したのだからとケーキを一口も分けてもらえず、小五のシュウはマジ泣きした記憶がある。今日は駿足鳥の足一本の独占許可が下りているので嬉しくてならない。
「コウメイさんは家族でパーティーとかしてましたか? それとも彼女さんとデートとか?」
「家族があちこちのパーティーに出てたなぁ。俺は塾を理由にバックレてたけど」
クリスマスのタイミングに付き合っていた相手には、家族と過ごすと嘘をついていた彼だ。
「お兄ちゃんがコウメイさんをおうちに連れてきたのって、クリスマスがはじめてだったよね」
「寂しいくせにやせ我慢して、コンビニでケーキ買って帰るとか言ってたからな」
「サツキちゃんのパネットーネ美味しかったぜ。あと芙美香さんのターキー、最高に美味かった」
今日の縞柄鳥の丸焼きはあのとき食べた二人の母親の味を目指したのだとコウメイが言う。
「「「「「「メリー・クリスマスっ!」」」」」」




