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日々是好日~ダッタザートの冬支度~  作者: HAL


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14/24

14 雨の夜



 その日は夕方から降りはじめた雨のせいで、前日よりも冷え込む夜だった。


「お兄ちゃん、寒いからって火鉢を自分だけで抱え込まないで」


 テーブルをセッティングしながら、サツキはリビングの片隅で火鉢を独占する兄を注意した。近くにいるコズエとヒロが寒そうにしているとようやく気づいて、アキラは二人が火に当たれる場所を作った。


「今夜は冷え込みそうですね」

「暖炉がないから、部屋があたたまらないよね」


 二人は火鉢で指先をあたためつつ、ナモルタタルの冬を懐かしく思い出していた。

 暖炉で部屋全体をあたためるナモルタタルとは違い、温暖なダッタザートの家屋は、雨風には強く快適だが、あまり寒さを考慮した作りではない。せいぜいカーテンを厚手のものに替えるくらいだ。それでも寒さを我慢できなければ、火鉢にあたるか厚着をするしかない。


「今晩は冷え込みそうだし、ソックス履いて寝なきゃなぁ」

「コズエちゃん、一緒に寝る? 二人の毛布を重ねたらあたたかいわよ」


 寄り添っていれば互いの体温でほかほかだ。女子二人は快適な睡眠環境を手に入れたようだ。


「……ヒロ」

「すみません、俺、暑がりなので」


 アキラが詳細を口にする前に、ヒロはさりげなく視線を逸らせ、火鉢で指先をあたためているくせに堂々と矛盾した理由でNOを告げた。


「コウメイさんかシュウさんに頼めばいいのでは?」

「シュウは寝相が悪すぎる……」


 アキラは顔をしかめた。ベッドから落ちないのが不思議な寝相だ。殴られた痛みで目を覚ましたくはない。


「それにコウメイは寝苦しい」


 枕や毛布を抱き枕にする癖のあるコウメイには、ハリハルタで雑魚寝をしていた当時、抱き枕代わりにギュウギュウに締めつけられて難儀した。

「寝苦しい」ですむような力ではなかったと愚痴るアキラに、ヒロは満面の笑みを向けた。


「暖を取るならコウメイさんが良さそうですね」

「良くない」


 苦虫を噛み潰したようなアキラに、やりとりを聞いていたコズエが「縞柄鳥の羽毛があるから、軽くてあたたかい掛け布団作れますよ」と救いの手を差し伸べた。


「さすがに今夜は間に合いませんけど」

「ありがたいが、大変じゃないか?」

「売れるほどの量はないし、羽毛の使い道をどうしようか悩んでたんです。アキラさんに一枚作ってみて、良さそうなら人数分作りたいし」


 試作品作り手伝ってくださいね、と微笑むコズエに、アキラは全面的な協力を約束したのだった。

 翌日から、食料調達ではなく、快適な寝具の為の狩りが続くことになった。


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― 新着の感想 ―
アドベントの方でアキラが羽毛布団自作を断念させられてたけれどここでコズエちゃんは作ってますねえ。さすがコズエちゃん
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