12 〆戦争
縞柄鳥はみぞれ鍋と鳥唐揚げとなって食卓に上り、彼らの腹を満たした。
「さて、〆だな」
塩出汁を吸った白芋おろしにあうのは。
「麺だろ、麺! リゾットは飽きたしー」
細めの麺に白芋おろしを絡めて食べたいとシュウが主張し、コズエも力強く頷いた。
「鳥出汁スープのラーメン、最高ですよね!」
塩でシンプルに味付けされた縞柄鳥出汁のスープは、麺で最後まで味わいたい。
「リゾットがいい」
「粒ハギを卵とじで食べたいです」
萩森兄妹はリゾット派だ。プチプチとした粒ハギと、粗くおろした白芋のホロホロの食感を楽しみたいと訴える。
麺派とリゾット派の熱烈なプレゼンを保留にし、コウメイはまだ意見を出していないヒロを振り返った。
「今日の縞柄鳥を狩ったのはヒロだ。優先するぜ?」
「いいんですか?」
「麺だよね!」
「リゾットですよね!」
コズエとサツキの二人に迫られたヒロは、その後ろから圧力をかけてくるシュウとアキラの視線をたくみに避け、コウメイにだけ聞こえるようにリクエストを告げた。
「わかった。ちょっと待ってろ」
ニヤリとして台所に消えたコウメイは、すぐに湯気のたつ鍋を持って戻ってきた。
「〆は、すいとんだ」
モチモチとしたすいとんで、出汁を吸ったおろし白芋をすくって食べた。
誰からも文句は出なかった。