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ブエナビスタ冒険譚  作者: 須磨恵一
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ブルー・ラグーンを発見せよ①

4月2日、午前10時―惑星イズラン最大の都市、ハッピーバレーにあるギルド「ブエナビスタ」本部-そのギルドマスタールームにて、ある特務の任命式が執り行われていた。

「ライアン・アーチマン以下18名に、マスター権限として以下の特務を任ずる。惑星イズランのブルー・ラグーンと思しきエリアの調査を命ずる。最大調査期間は三か月。結果に関わらず、三か月経過したら本部へ帰投するように。以上」

ブエナビスタのギルドマスター、ファビアン・アーチマンから命令書を受け取ったその息子、ライアン・アーチマンは両手で受け取ると、

「ライアン・アーチマン以下18名、確かに特務を拝命いたしました」

と返事をした。

式終了後、ライアンはファビアンのところへ歩み寄ると、

「…親父、この計画の立案者って誰?」

「お前の爺さんだが?いい旅行になるだろう、ってさ」

「あのさ、可愛い子には旅をさせよっていうけどさ、行先がいきなり過酷すぎないか?愛する息子がいきなり消息不明にでもなったらどうするんだよ」

「大丈夫だ、お前ほどの腕でそんな簡単に消息不明になるってことはない。なあに、俺と親父でサポートするさ」

「だったら親父とじいちゃん主導でいいじゃないか」

「バカ、親父の立場考えてみろ。名目上は隠居の身だぞ」

「隠居の身で星間航行船のパイロットなんか普通しないでしょ」

そういうとファビアンはライアンを残し、執務室を出ていった。


ライアン・アーチマンは、先述の通りファビアン・アーチマンの息子である。要は、ブエナビスタの三代目マスターと目されている。

祖父であるトムも父ファビアンも切れ者だったが、ライアンは学生の時から天才だった。いかんせん、入学にも卒業にも厳しい試験の課されるイズラン・アカデミーにて、入学から卒業まで学年主席として在籍し続け、卒業試験を満点で合格した史上初の生徒だった。だが、一方で、

「寮の門限破りの常習犯であったにもかかわらず、寮長に毎回見つかることなく帰寮し、また抜け出して遊びに行っていた」

「どんなに優秀な生徒でも一度は怒られる鬼教官から、一度も怒られたことがなかった」

という、やや武勇伝めいた話も聞かれた。


さて、そのライアンは小会議室に、特務へ同行するメンバーを集めた。

「グランドマスターから直々のご指名だ」

一瞬、その場にいた全員から声が上がったが、

「ブルー・ラグーンへ遊びに行ってこいだとさ」

というライアンの二言目でその場はあっさり静まり返った。

「…当然、マスター特務だから拒否もできない、ってか」

ライアンの右隣に座っていた、明るい色の髪を持った男が口を開いた。

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