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ギルドマスターはちゃんと聞いていました

イバラーク(32)

農業ギルドのギルドマスター。

赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。

農業以外は何でも器用にこなす。


エヒム(10)

肩口まで伸ばした金髪に青い目。美少女と見まごうばかりの美少年。

農家の次男坊で年齢に似つかわしくない知性と農業スキルを持つ。



シニオレ(約800)

旅の途中のドラゴン。

休憩と称してエヒムの土地でごろごろしている。

博識。

 ドラゴンのシニオレが旅立って三日。


 エヒムはまだシニオレがいない事に慣れずにいた。


 エヒムが初めてその姿を見た時には、自分は死んだと思った。


 自然界の頂点に立つ存在と言ってもいい、それがドラゴンである。


 何の因果かエヒムが住まう土地に彼は舞い降りていた。


 旅の途中、池のほとりで休憩していたらしいが。


 最初こそ怖かったものの、エヒムの周りの非常識人達のおかげで(せいで)シニオレとも打ち解け、何をするでもなくごろごろとしている姿に癒されたり、ただただ世間話に花を咲かせたりした。


 いつもいたはずの存在がいなくなるのは、心に穴を開ける。


 その穴も時の流れが埋めていくのだろうか。


 そしてエヒムに子供が生まれ、孫が生まれ、いつか子供や孫に自慢するのだろう。


 僕はドラゴンと仲良しだったんだよ、と。


 エヒムは気をゆるめると涙が出そうになる目をこすり、家のドアを開く。


「・・・・・・」


 エヒムは自宅のドアを開けたがすぐに閉めた。


 ドアを開けた先はちゃんと大災害跡地の自分の土地だった。


 間違いない。


 万が一自分の見間違いなら、という思いでもう一度ドアを開ける。


 閉めた。


 ドラゴンがいた。


 エヒムは勢いよく扉を開ける。


 それでドラゴンもエヒムに気付いたようだ。


『今日も朝早くから働き者だな、エヒム坊』


「なんですかそれぇえええ!?」


 朝っぱらからエヒムのコロコロした可愛らしい叫びが大災害跡地に響く。


 そして泣きながらシニオレに突貫していく。


 白い顔を真っ赤に染めて泣きじゃくりながらシニオレの足をポコポコ叩いた。


「シニオレさんですよね!? 正直ドラゴンの顔の見分けなんてつかない気がしますけど、シニオレさんでいいんですよね!?」


『なんか薄情な事を言われた気がするが・・・・・・うむ、我だ』


 エヒムかウルウルした目で見上げてくるので、ドラゴンのシニオレも思わずきゅんとしてしまう。


 なんと愛らしい娘・・・・・・いや、坊やか。


 どこぞの変態女にでも変な事をされないか心配になってしまう。


「だって、旅立ったらもう、生きてる間には会えないと思ってましたぁ・・・・・・」


『む・・・・・・』


 シニオレが怪訝な表情をする。


 そしてすぐに納得した顔をする。


 ああ、なるほど、と。


『おおかた小僧のせいだな。小僧から聞いてないのだろう』


「ふぇ?」


 いまだしゃくりあげているエヒムが何を言われているのかわからないという顔をする。


 しかし可愛いな。


『小僧には言ってあったぞ。数日のうちに戻ると』


 小僧とは農業ギルドのギルドマスターである。


 そして、シニオレが旅立つと言ってホッカイ、アキータ、オサカ、クマモン、そしてエヒムを集合させた張本人である。


 たちの悪いドッキリを仕組まれたとエヒムが気付いたのはしばらく間があってからだった。


「ぅああああああああ!?」


 錯乱して頭を抱えるエヒムだったが、とにかくはっきりしている事が一つ。


 次にイバラークあったら数発殴っておこうという事だった。

いつも読んで下さってありがとうございます。


小説サイト頑張って製作中です。

もう少々お待ち下さい。

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