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ドラゴンと別れのギルドマスター

イバラーク(32)

農業ギルドのギルドマスター。

赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。

農業以外は何でも器用にこなす。


ホッカイ(19)

輝くような銀髪に青い目を持つハーポーンの英雄。

農業初心者だが、農業が好きすぎて農業をしているとしょっちゅうデフォルメされた二頭身の姿になっている。


アキータ(17)

紫がかった長い黒髪で髪色と同じ色の目は大きい。怜悧な美貌の持ち主。

天才薬士として有名。

地獄の底からやってきたイバラークの天敵。


エヒム(10)

肩口まで伸ばした金髪に青い目。美少女と見まごうばかりの美少年。

農家の次男坊で年齢に似つかわしくない知性と農業スキルを持つ。


オサカ(14)

頭に大砲、もとい巨大なリーゼントを装備している。くすんだ灰色の髪と短い眉の心優しき不良。

あまり頭は良くないようだ。


シニオレ(約800)

旅の途中のドラゴン。

休憩と称してエヒムの土地でごろごろしている。

博識。

「どういう事ですか!?」


「・・・・・・残念ね」


「ウロコ」


 シニオレとの別れという事実はギルド員に衝撃を与えた。


 エヒムはシニオレに詰め寄り、アキータは素直に別れを惜しみ、ホッカイはそうすれば引き止められると思っているのか、シニオレの尻尾にしがみついている。


『ふむ、我はもともと休憩のつもりで寄っただけ・・・・・・それに貴様ら人間ごときと戯れたのは我の気まぐれ。かような別れなぞ』


「シニオレ、鼻水すごいぞ」


『泣いてなどおらん!?』


「いや、鼻水・・・・・・」


 滝のような鼻水を眺めてイバラークが引いている。


 ドラゴンは泣くと涙じゃなく鼻水が出るのだろうか。


 脱水症状で死なないように気をつけてもらおう。


「ぁあ゛!? 何の騒ぎだ、ごるあ!?」


 あとからオサカがリーゼントをフューリーベアのクマモンにくわえられてやってきた。


 クマモンが唐突にやってきて、オサカのリーゼントをくわえると、ここまで運んできたのだった。


 事情を知らされていないオサカは頭の上に疑問符が浮かんでいる。


「シニオレの最期を見送ってもらおうと思ってな」


「ぁ゛あ゛ん!? あ!? あ゛!? 何言ってんだダンナ、おお!?」


 オサカの動揺ぶりが半端ない。


 華麗なステップを高速で踏んでいる。


 あれだけ激しい動きをしても彼の頭上の大砲は少しも乱れないが。


 精神はとても乱れているようだ。


「言い方が悪いわよ、筋肉だるま」


「貴様は大概口悪いがな!?」


「シニオレが旅に出るんですって。その見送りよ」


 オサカのステップがさらに激しさを増す。


 高速ステップからのムーンウォーク、そしてさらにステップ。


 どうにも落ち着かないようだ。


 オサカもホッカイ同様生き物が好きなのでシニオレもその範囲だったのだが、そのシニオレが旅立つという事で悲しみを抑えられない。


 クマモンも基本はエヒムの土地で過ごしているので、必然的に近くにいるシニオレと過ごす時間が多かったし、シニオレは魔法でコミュニケーションが取れるので、クマモンもシニオレとはコミュニケーションが取れる相手だった。


 貴重な話し相手だっただけに、クマモンもショックを隠せない。


 みんなはシニオレを半円形に囲んで思い思いの事を口にし、別れを惜しんだ。


「向こうに行っても元気でいてくださいね、って、人間と違ってドラゴンですから無駄な心配かもしれないですけど。でも心配、してますからね」


「またここに来なさいよ」


「力になるぜ!」


「・・・・・・腹が減ったら、また来るといい」


「ウロコ」


 イバラークしつこい。


『みな、世話になった。必ず、すぐにまた会える・・・・・・』


 シニオレは鼻をすすって呼吸を整えると翼を広げる。


 ドラゴンは純粋に羽の力だけで飛ぶのではなく、魔法の力を利用している。


 シニオレは魔法を編むと身体が重力を無視して浮かび上がる。


『さらばだ・・・・・・精霊に愛されし者』


 シニオレは尻尾にしがみつくホッカイを見る。


 それにホッカイはしぶしぶと離れていく。


 さぁ、旅立ちの時だ。


 シニオレは空高く舞い上がっていく。


 そして北の空に消えていった。

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