ギルドマスターは警戒を解けない
イバラーク(32)
農業ギルドのギルドマスター。
赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。
農業以外は何でも器用にこなす。
ホッカイ(19)
輝くような銀髪に青い目を持つハーポーンの英雄。
農業初心者だが、農業が好きすぎて農業をしているとしょっちゅうデフォルメされた二頭身の姿になっている。
アキータ(17)
紫がかった長い黒髪で髪色と同じ色の目は大きい。怜悧な美貌の持ち主。
天才薬士として有名。
地獄の底からやってきたイバラークの天敵。
トトリ(19)
おっとりとした見た目の美しいお姉さん。長い黒髪を肩から前に流している。その可憐な姿はハポンナデシコ。
元暗殺者。
そしてきょぬー。
アモリン(24)
桃色の髪を後ろで髪留めを使ってまとめている。
占い師。
エロいお姉さん。もはや変態。
アモリンの家系は何代かに一人、占い師としての能力を持つ者が生まれる家系である。
能力に多少の差はあるものの、いずれも本物の能力者だった。
アモリンもその血を受け継ぎ、占い師として生計を立てていた。
自分の占いに絶対の自信を持っていた彼女は、占いに従って(欲望に従って)農業ギルドの門をたたいた。
いろんな意味で人が好きな彼女は男女問わず美形が好きだった。
エヒムを始め、事務員のトトリや同じギルド員のアキータとホッカイという美形が揃っている農業ギルド。
彼女にとって天国だった。
特に天使か妖精かと思うようなエヒムを気に入っているのだが、なぜかいつもジャマが入る。
だいたいはアキータあたりが手を出そうとした時に現れては妨害してくる。
アモリンにしてみればアキータも好みなので嬉しいは嬉しいのだが。
ただ、アキータ相手の場合は命を賭けなければならないのが難点だ。
「トレンジにこれあげたら枯れたんだけど、(お前に)試してもいい?」
そう聞かれた時は興奮し・・・・・・恐怖で声にならなかったものだ。
紫がかった長い黒髪を揺らして歩く姿は凛として美しい。
同じ女としてはとても隣に立てないと思ってしまう。
引き締まった肉体は彼女の凛とした姿をより際立たせている。
髪と同色の大きな目はいつも強気で、惚れ惚れしてしまう。
「と、いうわけでエヒム君かアキータ嬢を私にちょうだい」
「貴様にはお縄をくれてやる」
朝っぱらから何しに来たのかと思えば、犯罪者の戯言だった。
トトリはアモリンを華麗にスルーして事務仕事にまい進している。
事務所の奥のほうではトトリの妹シマーネが雑務をこなしている。
まぁ、トトリが意図的にシマーネを奥に引っ込めてアモリンの目に触れないようにしたのだが。
イバラークはどうやったらこの女を牢にぶち込めるか思案する。
まだ何にしても未遂なのでぶち込むのはできなさそうだったので途中で諦めた。
「私からは口には出せないおぞましいものを精製した薬をあなたにあげるわ」
隣の席に座っていたアキータが口を開く。
その向かいに座っているホッカイが慌ててアキータを止めようとジェスチャーを送っている。
アキータとホッカイには、いつぞやタスマーニャ村を救った時の報酬金を支払うからという事でギルドに来てもらっていた。
まだタスマーニャ村から入金はないが、ギルド員には先に支払いを済ませておく事にしたのだ。
そこにアモリンという闖入者が現れたわけだ。
「何よ、私だって農業ギルドのギルド員なんだからね」
トトリほどではないにしても大きな胸を反らして主張する。
実際、慣れないながらにエヒムにいろいろ教わりながら農業に勤しんでいるのは確かだ。
そこは認める。
だが、欲望に忠実すぎるのはどう頑張っても認められないので自重するか牢に入ってほしい。
できれば後者で。
「で、何の用で来たんだ?」
「何よ、用がなきゃ来ちゃダメなの? ギルドなんだから仕事があるかもしれないし、有益な情報が入っている事だってあるんじゃない?」
確かにその通りである。
ギルドの役割はそこだ。
「いや、そうなんだが・・・・・・ついお前が来ると警戒してしまうというか」
「ヒドい!?」
「普段の行いでしょ」
普段はいがみ合っているイバラークとアキータだが、今日は同じ立ち位置のようだ。
相変わらずホッカイが仲裁しようとオロオロしているが、効果は出ない。
「じゃあ、こういうのはどう!? 今日は特別にみんなを占ってあげちゃう!」
アモリンはポイント稼ぎに自分の武器を取り出した。




