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ギルドマスターには花が必要です

 朝も早い時間であるが。


 ギルドのドアが勢い良く開けられる。


 入ってくるのは奴しかいない。


「金出せ、金~」


「強盗か!?」


 強盗の方がまだ気は楽だった。


 入ってきたのは当然、天敵の女だ。


「この私をこき使った奴がどうなるか・・・・・・」


「貴様はどうせ大して働いてないだろ」


 天敵ことアキータの右手の人差し指が左目に、左手の人差し指が右目に。


「目がぁ! メガ~!!」


「私だってホッカイが立てた杭に布を打ち付けていったわよ」


 床を転げまわるイバラークに何事も無かったかのように話す。


 目ん玉大事よ、大事。


 似た玉と同じくらい。


「で、それ誰?」


 それと言われても目が見えないイバラークだが、まぁ、察しは付く。


 そう、この農業ギルドに咲くハポンナデシコ。


 ハーポーンに極わずかに存在する可憐で奥ゆかしい女性。


 それがハポンナデシコ!!


 ゆらり。


 幽鬼の如く立ち上がったイバラーク。


 目の打ち所が悪かったのか、不適な笑いを浮かべる。


「くっくっく・・・・・・貴様のような花弁の無いバラ女とは違う、本物のハポンナデシコよ!」


「えいっ」


 ち~ん。


「おぎゅばぁあああ!!!」


 やめるんだ、その玉は目ん玉と同じくらい大事だ。


 イバラークが再びその身を床に横たえる。


 ただし、今度はうずくまったまま動かないが。


「やだ、足が穢れる」


 鬼か。


 不快感抜群の顔でそのおみ足を手で払う黒衣の天使様。


 悪魔と対等に渡り合えるのはこいつしか居ない。


「で、どちら様?」


 おっとりとした女性で、アキータより年上だろう。ホッカイと同じくらいか。


 艶やかな黒髪を右肩から前に流している。


 イバラークの惨状を目の前にしながらも、受付カウンターの椅子に座ったまま、穏やかな笑みを崩さない。


 座っているので正確にはわからないが、アキータより身長は低そうだ。


 胸は控えめに言ってデカい。


 世の馬鹿な男達があっという間に群がる感じ。


 女の勘というか。


 やばそうな女だとアキータは思った。


「トトリです。事務員として雇って頂きました。これからよろしくお願いしますね?」


 守ってあげたい女性という理想像みたいな雰囲気。


 声。


 仕草。


「そこのダンゴムシケラ、どこで拾ってきたの?」


 丸まっていたダンゴムシの顔が持ち上がる。


 どうやら奴はダンゴムシではなく、ガマだったようだ。


 滴るほどのガマの油・・・・・・ではなく脂汗をしたたらせている。


「ふっふっふ・・・・・・どうした。見た目だけは抜群の貴様だが。そのギルド一の美女の地位を奪われそうになってあせっているのか? んん~?」


「別にそんな称号要らないわよ」


 自分の美しさは自分が一番理解しているから。


 自分に自信が有る故に、他者の評価など気にしないのだ。


「まぁいい。そちらのおぜうさんとの馴れ初めを聞きたいかね? 長くなるぜよ?」


「短くまとめなさい」


 ・・・・・・・・・・・・。


「暗殺されそうになったので事務員にしました」


 ・・・・・・・・・・・・。


「・・・・・・はしょり過ぎ」

なんだかアキータの存在が大きすぎる気がします。

もっとホッカイ頑張ってくれないかなぁ・・・・・・。

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