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ギルドマスターも知らないホッカイの過去⑤

イバラーク(32)

農業ギルドのギルドマスター。

赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。

農業以外は何でも器用にこなす。


ホッカイ(19)

輝くような銀髪に青い目を持つハーポーンの英雄。

農業初心者だが、農業が好きすぎて農業をしているとしょっちゅうデフォルメされた二頭身の姿になっている。


アキータ(17)

紫がかった長い黒髪で髪色と同じ色の目は大きい。怜悧な美貌の持ち主。

天才薬士として有名。

地獄の底からやってきたイバラークの天敵。


トトリ(19)

おっとりとした見た目の美しいお姉さん。長い黒髪を肩から前に流している。その可憐な姿はハポンナデシコ。

元暗殺者。

そしてきょぬー。

「なぜに貴様は普通に扉を開けられん」


 イバラークはドアに回し蹴りをくらわせたアキータに白い目を向ける。


 一緒にいる時間はけっこう長いホッカイにも理由はわからない。


 もしかしたらアキータ本人もわかっていないかもしれない。


 常にギルドのドアを開ける時は、王都防衛特殊部隊がテロリストの立てこもる家のドアを蹴破るような勢いでドアを開けている。


 なんとなくでこんな開け方をされても困るのだが。


 ただ、イバラークも何の対策も立てないほどバカではない。


 最近、超希少素材を手に入れる事ができた。


 竜鱗。


 金を積んだからといって手に入れられるものではない。


 誰もがよだれを垂らしてうらやましがる一品である。


 それを惜しげもなくギルドの扉に補強材として使った。


 耐久力、衝撃吸収性ともにトップクラス。


 戦士ギルドの人間が知ったら涙を流して悲しむだろう。


 よりによって、なんで建物の扉に使った、と。


「イバラークの顔を見るとイラッとするから前払い的な?」


「俺の顔面のせい!?」


「面白不愉快な残念フェイスだから・・・・・・!」


 涙ながらに訴えるアキータ。


 いや、涙は出てないけど。


 むしろ邪悪なオーラしか出てない。


「来世はスライムになりたい・・・・・・」


 イバラークはうつ伏せで震えながらつぶやく。


「真っ先に駆除してあげる」


「この人でなし!?」


「それよりお金ちょーだい」


「この小娘・・・・・・!」


 怒りでイバラークのこめかみがヒクヒクと動く。


 いつものやり取りだというのにホッカイはオロオロとしている。


 そして、イバラークの肩をぽんと叩く。


 慰める為にそうしたのだが。


「よし、勇者ホッカイよ。魔王を倒すのだ!」


 ホッカイがびくっとする。


「ほらほら、その勇者の武器を手に入れるためのお金なんだからさっさと出しなさい?」


「あん?」


 イバラークがホッカイを見る。


 そのホッカイは申し訳なさそうにしている。


 ホッカイに代わりアキータが事の顛末を説明。


 それにイバラークは納得する。


「あ~、まぁ確かにあれじゃ鍬がもたないわな」


 イバラークはあごをさすりながら考える。


 ほんの数秒ほど考えてイバラークを見た。


「じゃあ、ギルドから融資という事で。物納で返してくれればいいぞ」


 イバラークはトトリに声をかける。


「金貨で50枚ほど用意してやってくれ」


「そんなにですか?」


 トトリが驚くのも無理はない。


 この王都で暮らしていても丸々一年は余裕で食べていける金額である。


「ああ。コクティーノ材が高価なのはもちろん、タスマーニャ村は木材の取り扱いに長けた職人が多くいる土地柄、木材が非常に高価なんだ。当然質は最高級だ。他の職人はそうそう真似できん」


 こんな金額貸し付けられても返すのが大変だと思うのだが、幸いホッカイの土地では作物の生育が異常なほど良いので、不安になるほどは返済も時間がかからないだろう。


 それがイバラークにはわかっているので、貸す事に抵抗はない。


「一応俺も付いて行くようにする」


 金額が金額だけに、自分も付いていった方が良いと判断。


 なんだかんだ面倒見がいいのが、農業ギルドのギルドマスターである。


「財布としての自覚が出てきて何よりよ」


 ただし、出発はイバラークの心のケアが済んでからだった。

いつも読んでくださる皆様に感謝です。


久しぶりにいつものおかしなやり取りが帰ってきました。

こうじゃないと『農業ギルド、始めました』じゃないですよね。

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