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ギルドマスターも知らないホッカイの過去③

ホッカイ(19)

輝くような銀髪に青い目を持つハーポーンの英雄。

農業初心者だが、農業が好きすぎて農業をしているとしょっちゅうデフォルメされた二頭身の姿になっている。


アキータ(17)

紫がかった長い黒髪で髪色と同じ色の目は大きい。怜悧な美貌の持ち主。

天才薬士として有名。

地獄の底からやってきたイバラークの天敵。

 家に戻るとアキータが朝食を作っていた。


 長い髪を後ろで一つに束ねている。


 いつもは長い髪をそのまま下ろしているが、料理の時と薬の調合の時だけは縛っている。


「もうすぐできるわよ。野菜だけは腐るほどあるから、しっかり食べなさいよね」


 こくり。


 いつものやり取りである。


 アキータも一応居候という立場はわかっているので、食事はアキータが作っている。


 ホッカイは気にしなくてもいいと思っているのだが、満足な料理を自分では作れないのでけっきょくアキータにお願いする形になっていた。


 アキータの料理はなかなかに美味い。


 少し意外な気がするが、アキータとしては薬を調合する感覚で料理をしているらしく、おかげでアキータが作る料理で不味いものはない。


 今日の朝食はダイコイトという根菜のスープと同じくダイコイトの漬物、ダイコイトの煮物(味を変えて三種類)そして米である。


 ダイコイト尽くしなのはホッカイの畑で取れるダイコイトの大きさが、食べきるのに時間がかかる大きさだからだ。


 ダイコイトを一本使い始めたら少なくとも丸一日はダイコイト尽くしにしないと使い切れない。


 それも体を動かすホッカイが食べてもそれくらい必要になる。


 これがアキータだけだったら三~四日は食べきるのに時間がかかるだろう。


 ダイコイトは葉の部分も食べられるので捨てるところがほとんどない。


 そこもまた食べきるのが大変な部分だ。


 かといって捨てるような真似はしない。


 どうしても食べられない部分は堆肥に変えるために取っておく。


 たまには肉や魚を食べたくなる。


 そんな時には王都まで行って買ってこなければならない。


 ホッカイが狩りをしてくればいいのだが、ホッカイにしては珍しく頑なに狩りにいく事を拒否する。


 なので、基本肉や魚を食べる時は王都に行くのだ。


「ねぇ、ホッカイ。そろそろお肉が食べたいからついてきてよ」


 こくり。


「ついでに鍬をみてもらったら? 接合部が緩み始めてるんでしょ?」


 こくり。


 ホッカイの鍬の金属部分は問題ないが、鍬の刃を固定している接合部が緩んできている。


 ホッカイの人智を超えた耕しに、鍬がもたないのかもしれない。


 ちょうどいいのでこの鍬を作った鍛冶屋に行ってみてもらおう。


「じゃ、決まりね。ギルドは寄る?」


 こくり。


 朝食をたいらげながら他愛のない会話をする。


 一方的にアキータがしゃべってホッカイが頷くだけを会話というなら。


 一応意思は疎通できている。


 トラブルは起きていないし、むしろ仲がいいといって差し支えない。


 かといって男女の仲ではないところが他のものからすると不思議なのだが。


 とにかく、今日の予定は決まった。


 朝食が終わって支度ができたら王都へ向かうのだ。

いつも読んでくださってありがとうございます。

順調に(?)ブックマークも増えてありがたい限りです。


崩した体調が戻りません。

この軟弱な肉体をイバラークと取り替えたい今日この頃。

季節の変わり目ですので皆さんも体調にはお気をつけ下さい。

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