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ギルドマスターも知らないホッカイの過去②

ホッカイ(19)

輝くような銀髪に青い目を持つハーポーンの英雄。

農業初心者だが、農業が好きすぎて農業をしているとしょっちゅうデフォルメされた二頭身の姿になっている。

 寝ているアキータを起こさぬように、ホッカイはそっと支度をする。


 作業着に着替えて鍬を手に持ち、汗拭きようの布を首にかける。


 完全に気配を殺して外へ出ると、やっと空が白んできたところ。


 畑に向かって歩いていくにつれて、見た目が二頭身になっていくように見える。


 錯覚なのだろうが、すごくそんな風に見える。


 歩くたびにぷにっ、ぷにっと音が聞こえてきそうだ。


 その手に持つ鍬だが、もとは愛剣である。


 農業を始めるにあたって、鍛冶屋で鍬に打ち直してもらった。


 苦楽を共にした愛剣。


 その剣に何度命を救われた事か。


 もっとも信頼する相棒は、形を変えて鍬とフォークとして生まれ変わった。


 これからもこの相棒達とホッカイは生きていくつもりだ。


 ホッカイは鍬を畑のそばにおいて、畑の様子を見る。


 雑草が生えていたら抜き取らねばならない。


 にへら、と笑ったホッカイに作物はその体をくねらせて挨拶を返す。


 そして、返ってきた挨拶にまたホッカイはにへら、と笑う。


 周りに今まで雑草すら生えていなかった土地なので、ほとんど雑草が生えないのだが、土ごと持ってきた苗や腐葉土に雑草の種や芽が混ざっていたのであろう。


 少しだけ雑草が出てくる。


 ホッカイは丁寧に出てきた雑草を抜いていく。


 それを、農業の師であるエヒムに教わった堆肥の作り方に則って処理していく。


 使えるようになるまで時間はかかるそうだが、貴重な資源なので有効に利用していく。


 除草が終わると、今度は水を与える。


 与えすぎは良くないが、なにぶんホッカイの土地の作物達は元気が良すぎてすぐに水を吸い尽くしてしまう。


 ホッカイは毎朝水をまいて、夕方にも水をまく。


 その後は池まで水を汲みに行く。


 王都と違って水道が引かれていないので、近くの池まで水を汲みに行かなければならない。


 ホッカイは人並み外れた身体能力の持ち主なので、巨大な(かめ)を担いで池まで行く。


 水入りの巨大な甕を軽々と持ち上げると、家と池を往復して水入りの甕を十ちょっと用意する。


 中級ギルド員であるホッカイの所有する土地が広い事と、ホッカイの土地の作物が異様に水を必要とする事でこんな量になっているが、他のギルド員たちはこんなに水を必要とはしないだろう。


 いつもホッカイが水を汲む地点から少し歩くとエヒムの土地があり、そこではドラゴンのシニオレがしょっちゅうごろごろしている。


 この間はシニオレが空腹を訴えたので、ギルド経由でシニオレの食料を提供した。


 ホッカイとしてはタダで分けても良かったのだが、シニオレがそれを辞退した。


 どうやらイバラークと約束があったようだ。


 それが何なのかは聞かされていなかったが、最近判明した。


 シニオレに王都へ行くための道を作ってもらっていたのだ。


 見事に山が切り崩されて、道ができていた。


 これでわざわざ王都と行き来するのに山越えをしなくて済むようになった。


 ホッカイにとってはたいした労力ではないが、他のギルドメンバーや場合によっては商人なんかも通る可能性がある。


 交通の便が良くなるのは良い事だ。


 そうこうしているうちに、アキータも目を覚ましたようだ。


 朝食を作る気配が家の中から感じられた。

いつも読んでくださる皆さん、本当にありがとうございます。


ホッカイの話の続きです。

しばらく続くのでお付き合い下さい。


夜も仕事してるもんで、更新が不定期になるかもですが、お付き合い頂けるとありがたいです。

よろしくお願いします。

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