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ギルドマスターの午後の憂鬱

 農業ギルドのギルドマスターこと、イバラークは暇だった。


 昨日までは忙しかった。


 大災害跡地に商業ギルドから取り寄せた資材が届いたので、ホッカイ、アキータと話し合った通り(正確にはアキータとしか話していないが)、彼らが大災害跡地で目印にする杭を立てる基準の一本を立てに行っていた。


 ついでに商業ギルドから届いた資材を半分と四分の一を二つに分けた。


 西の基準杭の所と南の基準杭の所に四分の一ずつ、大災害跡地の中央に位置する丘に残りの半分を置いて来た。


 商人ギルドには、輸送費を浮かす為に西の基準杭を立てる位置までしか運んでもらわなかったので、輸送は自分で行った。


 全部で二千二百本。


 南に五百五十本、中央の丘に千百本運んだ。


 運んでいる間は、地獄ってこういう場所なんだろうなって、独りで思った。


 運ぶのだってギルド員にやらせれば良いのだが、可愛いギルド員一号二号の為にサービスしてやろうと思ってしまった次第である。


 丸二日間寝ずに運んだ。


 荷車が壊れそうになるぎりぎりの所まで乗せた。


 そして非常識な速さで荒野を駆けた。


 「ムハー」言いながら。


 その姿を見たら呪われて夢にうなされるかもしれない。


 人知を超えた働きぶりで、ホッカイとアキータが作業を始める前に準備を終える事ができた。


 今朝、二人がやってきてコンパスやら四色の布やら前金を取りに来たので、その話をした。


 二人は泣いて喜ぶだろう。


 アキータだって感動のあまり今までの非礼を詫び、感涙で前が見えなくなるであろう。


 そう思った。


「キモい。変態」


 そう言われた。


 何故だ。


 普通のギルマスターならこんなサービス精神は発揮しないぞ。


 そんな人外を見るような目で俺を見やがって。


 イバラークは涙で前が見えなかった。


 救いを求めてホッカイを見たが、ホッカイは夢見る少女のような顔であらぬ方を向いていた。


 どうやら彼は、これから訪れる新しい生活に思いを馳せ、うっとりしているようだった。


 イバラークの事は視界に入っていないようだ。


 寝よう、そう思った。


 気付けば昼を過ぎていて、受付カウンターによだれの水溜りが出来ていた。


「水は・・・・・・大事だ・・・・・・」


 半分寝ぼけた頭でその水溜りを眺めていたが、汚いので掃除した。


 そして現在に至るが。


 今の所来客無し。


 ギルド員が二名、準ギルド員が三名。


 まだまだ足りない。


 仕事の依頼は・・・・・・まぁ、まだ来なくていい。何せ、依頼を出されてもそれを受ける人間が居ないのだから。


 まずは人員の確保だ。


 実は、受付とかの事務は自分がやればいいやと思い、事務員の用意を後回しにしていた。


 現実問題、ギルドを開設してからというものかなりの割合でギルドを留守にしていた。


 これでは仕事を依頼したい人はもちろん、新しいギルド員だって確保する機会を失ってしまっている。


 事務員の確保は急務であると思われる。


「よし、思い立ったが吉日!」


 イバラークは早速ギルドを留守にするのであった。

読んでくださっている方、いつもありがとうございます。

ブックマークの件数が増える度、心の中でガッツポーズをとっております。

今後も魅力的なギルドメンバーを増員していく予定です。

お付き合いの程、宜しくお願いします!

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