俺が農業ギルドのギルドマスターだ
イバラーク(32)
農業ギルドのギルドマスター。
赤みがかった短い髪で身長が高くガタイも良いので農業ギルドより戦士ギルドのギルドマスターのほうがしっくりくる。
農業以外は何でも器用にこなす。
ナグヤ(34)
ハンターギルドの特級ギルド員。
明るい灰色の髪を短く刈り込んでいる。
ナイフとショートソードを扱う。
イバラークは気絶しているナグヤの頬を叩く。
起きない。
ぱぱぱぱぱん!
目にも留まらぬ往復びんた。
「ひぃっ!?」
その様子を見ていたナグヤの連れが悲鳴を上げる。
見る見るうちにナグヤの顔が腫れていく。
さすがに弓士が割ってはいる。
「もう止めたげて! ナグヤのライフはとっくにゼロよ!?」
「勝手に殺すな!? っ痛ててて・・・・・・」
ナグヤは突っ込みのために目覚めた。
見事に腫れた顔を撫でるナグヤ。
「なんじゃこりゃあああああ!?」
まるでホッカイの畑で採れたトレンジのようだ。
触るととても痛い。
「大丈夫か!? さっきでっかい虫がお前の顔を刺したぞ!?」
ナグヤの連れ二人が何かを言いかけたが、イバラークと視線があったので口を閉ざした。
イバラークの暴走は止まらない。
「そこの二人が身をていしてお前を助けたんだ」
なぁ、そうだろ?
イバラークの目が二人を見つめる。
二人はこくこく頷くしかない。
イバラークは一つ頷く。
コレでお前達は共犯だ。
二人は顔を引きつらせて苦笑いを浮かべる。
「そうか、すまない、お前達・・・・・・」
「これでお前らの依頼は失敗だな。依頼主に失敗しましたって報告しておけよ?」
今そういう事言う雰囲気の流れじゃなかったんだけど。
ナグヤが呆気にとられてイバラークを見る。
この男にはペースを乱されっぱなしだった。
この男にはかなわない。
ナグヤはそう思った。
だから、ここは素直に従う。
「ああ、わかった。だが聞かせてくれ。なんでアンタは俺達の邪魔をしたんだ?」
「仕事だって言ったろ。依頼があったからお前らを止めた」
「別にモンスターを狩っているだけだぞ? 感謝されこそすれ、止められるいわれは無いと思うんだが」
ナグヤのいう事はもっともだった。
モンスター退治をして褒められる事はあっても非難される事はない。
だがしかし。
「依頼がきた。うちのギルドで請けた。それだけだ」
イバラークには関係ない。
ギルドにきたのが誰であろうと、依頼を請けたからには客だ。
たとえそれがモンスターであろうと。
「! おい、アンタ危ない!!」
イバラークのすぐ背後に巨大なフューリーベア。
ナグヤは素早く身を起こすと、佩いているショートソードを抜き、突きを放つ。
それをイバラークはいとも容易く素手で掴んで受け止める。
「こんな時にまで何してる!? 死ぬぞ!?」
それはナグヤたちが三人がかりで戦ったにもかかわらずし止め損ねて逃がしてしまった、この森の主である。
そしてそれは。
「俺の依頼主に剣を向けるんじゃねぇよ」
「な!?」
フューリーベアの頬を撫でるイバラーク。
フューリーベアはねぎらうようにイバラークの手をひと舐めする。
その光景を見てナグヤは剣を持つ手の力を抜く。
イバラークも受け止めていた剣を放す。
「なぁ、アンタ本当に何者だよ。『うちのギルドに』って言ってたよな。どこのギルドに所属してるんだ?」
この男ほどの力ならどのギルドにいたって有名になるはずだが。
戦士ギルドでもハンターギルドでも、闘士ギルドでもこんな男の話など聞いた事がない。
「俺はどのギルドにも所属してねぇよ」
「は? じゃあ、あんたの言う『うちのギルド』って?」
「農業ギルド!」
「はぁ!?」
「所属してるんじゃなくて俺はギルドマスターだ!」
意味がわからん、とナグヤたち三人の声が見事に重なって森に響いたのだった。
みなさん、いつも読んで下さってありがとうございます。
昨日は更新がありませんでした。
なぜだかわかりますか?
・・・そう、著者がバカだからです!!
投稿に失敗しました。
予約投稿を最後まで終えずに終了してしまったんですよ・・・・・・
本当に申し訳ありませんでした!




