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ギルドマスターとララミスの種 その6

 モンスターであっても鳥は鳥、肉は肉であった。


 焼いて食べれば美味しい。


 枯れた木と枯れた草を使ってイバラークはいとも簡単に火をつけ、マクマクを焼き鳥に変えた。


「なんでそんなに簡単に火がつくんですか!? おかしいですよね!?」


 規格外すぎて世の理不尽を嘆きたくなるエヒムだったが、日頃から非常識な人間のそばにいるおかげでなんとか平静を保っている。


 ただしツッコミは忘れない。


 アキータによって命を落とすことになったマクマクは美味しく頂いた。


 逃げそこなった二羽のマクマクはイバラークが逃がしてやった。


 完全には硬化剤が取りきれなかったが、そのうち羽が生え変わって取れるであろう。


「なに私の獲物勝手に逃がしてるのよ」


 アキータは文句を言ったが、そんなに食べきれないし、今から本命の採集を行うのに持ち運びなどしていられない。


 それでも、食べた分のマクマクからは硬化剤がついたままの羽をアキータは採集していた。


 硬化剤がついたままなのに使えるのかとイバラークがいぶかしんだが、そこはアキータ自身が作った薬だけあって、ちゃんと硬化剤を落とす方法があるらしい。


「そういえば、アキータさんも戦えるんですね。ちょっと意外でした」


 アキータも戦う能力はないと思っていたエヒムだったので、これには驚いた。


「薬の材料って、いい物ほどなかなか市場に出回らないから。出ても高値が付く事がほとんどよ。可能なら自分で採集したいところね。そうは言ってもフィジカル面はそこらの一般人レベルだから、結局薬に頼って戦うしかないのよ。おかげでコストパフォーマンスは悪いわ」


 使用した硬化剤を作るコストは白貨一枚くらい。


 それを三つ使ってしまった。


 それぞれ一羽のマクマクから白貨一枚以上分利益がなければマイナスである。つまり白貨三枚分。


「さっき収集した羽は利益出てるんですか?」


「硬化剤を取る薬品を使わなきゃならないからもう少しコストはかかるけど、多少はプラスになるわね。私なら他の連中より有用に使えるけど」


「?」


「代用品よ。本来その薬を作るのに必要な材料の代わりに使う事で、その薬を作るコストを下げるのよ。凡人どもにはできない芸当でしょうけど」


 自信過剰のきらいはあるものの、その自信は実力に裏打ちされたものなのでイヤミなところはない。


「そこの人型決戦兵器みたいに素手で狩りができればコストパフォーマンスは最高なんだけどね。二羽も逃がしてくれたから。二羽も。私の貴重な薬品使ったのに」


 うん、イヤミなところは・・・・・・。


 イヤミなところはイバラークにしかない!



「なんてイヤミな女だ・・・・・・貴様なんぞ、ムクムクの肛門部分でも食えばいい」


 農業以外何でもできるのに、イバラークは小物感漂っているのは何故なのだろうか。


 エヒムにはよく分からなかったが、人としての魅力はあるので憎めない。


 うへへへ、と意地の悪そうな笑みでマクマクの肉を木の枝に突き刺し、その間に肛門部分の肉をサンドしている。


 しかし、アキータはそんなものはお見通しだったのでイバラークのにやけた口にそのまま串を突っ込んでしまった。


「みぎゃああああ!? 何をしやがる!? この悪魔め!!」


「あら、小悪党が奇声を上げているわ。まぁ、怖い。鳥の肛門眺めてにやけてる変態は怖いわね、実に怖い」


「お前のが怖いわ!! 熱々の焼き鳥口に突っ込みやがって!! 枝の先がちょっと刺さったわ!!」


「早く私の分の焼き鳥串作りなさいよ」


「俺の魂の叫びを聞けぇええ!?」


 こうなると長いので、エヒムは自分で適当にマクマクを切り分け、くしに刺していった。


 熱々の状態なので気をつけて食べよう。


「あ、美味しい」


 冷めないうちにあの二人も食べられるといいな、とエヒムは思った。

いつも読んでくださる皆様、本当に感謝です。

ブックマークをしていただいている方、わたくしのモチベーションはあなた方のおかげで保たれています。


イバラークとギルド員って上司と部下みたいな関係だと思うのですが、イバラークたちみたいに上司と部下の距離が短いっていいですよね。

大きな組織になればなるほど、トップと末端の距離って離れてしまうものだとは思いますけど、イバラークたちにはなるべくそういうのはなく、みんなでバカ言い合ってわいわいやっていて欲しいなと思います。

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