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ギルドマスターとララミスの種 その1

 今日もイバラークがギルドに顔を出しに行くと、すでにトトリがギルドにいた。


 真面目なのは良いが、体を壊さないように注意してもらいたい。


 と、そこまではいつもとほとんど変わらないが、今日は珍しく客がいるようだ。


 ギルドに依頼をしに来た人だ。


「あんたがギルドマスターかい? 一応依頼は出してみたが・・・・・・あまり期待しないほうがいいか」


 失礼な事を言われた気がするが、新興のギルドである。


 そう言われても仕方がない。


 なんの依頼なのか確認する。


 トトリが依頼内容をまとめてくれた紙を手に取り眺めた。


 『ララミスの種の入手。一粒につき白貨一枚。納品上限数百粒。』とある。


 種一粒で白貨一枚とは破格だと思うが。


 そんなに貴重な種なのだろうか。


 残念ながらイバラークにはわからない。


「あ~、悪いが俺そんなに詳しくないんだが、その種そんなに貴重なのか?」


 依頼人は驚いた後、いぶかしげな目をイバラークに向けた。


「あんた、農業ギルドのギルドマスターなんだよな? 戦士ギルドのじゃなく」


 確かに見た目で言うなら戦士ギルドの人間だけど、王宮お墨付きの農業ギルドのギルドマスターである。


「まぁ、待ちたまへよ。ウチには優秀なギルド員が揃ってるんだ、そんな依頼なんてことないさ」


「・・・・・・本当だろうな? できませんでした、なんて言わないだろうな?」


「おう! 大船に乗ったつもりでいな!」


 依頼者が帰ったらすぐにエヒムに相談しよう。


 だから、とにかくこいつをとっとと帰らせたいな。


 早く帰らないかな。


 殴っちゃおうかな。


「・・・・・・マスター、何考えてるんです?」


「なんでもないよ、スライムに色違いがいるのはなんでかなって考えてただけ」


 色の違いは食べ物の差である。


 スライムは弾性がある細胞膜に包まれたほとんど水分の生き物だが、その食事は少し怖い。


 エサを見つけるとエサに密着する。


 そして細胞膜が一瞬破れてエサに体内の水分がまとわり付く。


 続いてその水分はエサを包み込んだまま細胞膜を再形成。


 エサを体内に取り込むのだ。


 水分と養分を吸い尽くすと、体外へ排出。


 そのエサの種類でスライムは色が変わってくる。


 動物性のエサを多く取ると赤に、植物性だと緑に、飢餓状態で養分がないと無色に近くなる。


「では、依頼は承りましたのでどうぞお引取りを。成果が出た時には直接うかがうようにギルド員には申し伝えますので」


 気を利かせたトトリが言う。


 できた事務員だ。


「頼んだぞ」


 無愛想にそう言って依頼人は帰った。


 背を向けた瞬間にイバラークが威嚇している時のオサカみたいな顔を依頼人に向けたが、幸い依頼人は気付かずに帰った。


「で、本当に大丈夫なんですか?」


「うむ、さっぱりだ!!」


 胸を張って言う事ではない。


「・・・・・・」


「エヒムゥーん、たーけてー」


 笑顔のままなのに冷ややかな視線のトトリを背に、イバラークは走り出したのだった。

読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

感謝しまくりです。感謝の大安売りです。


はい、今回から少し長めのストーリーが始まる・・・ような・・・

そんな気がします!

お付き合いの程、よろしくお願いします!

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