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ギルドマスターは不良少年に見つめられてどぎまぎしちゃう

 大砲のようなリーゼントが揺れている。


 大量の汗と荒い息遣い。


 手のひらはマメが潰れて布を巻きつけている。


 しかし、その少年はうめきこそすれ弱音も文句も一言も発する事がない。


「おう、頑張ってるなオサカ」


「ぁあ!?」


 相変わらず変わった返事だとイバラークは思うが、気にしない。


 この大災害跡地はクレーターができた際に、地面が固められた不毛の大地である。


 耕すのも簡単ではない。


「何のようだ、コラァ!?」


 疲労からか、オサカの顔が変な風に歪んでいる。


 農業も大事だが、時には無理せずに病院に行ってほしいものだ。


 そして、距離感がおかしい。


 近い。


 その顔面でそんなに近付かれても困ってしまう。


 そんな腐った死体のような目で真っ直ぐ目を見られると、さすがのイバラークもどぎまぎしてしまう。


 ちなみに腐った死体は本当に死んだ人間の死体ではなく、屍肉が魔力によって集まったゴーレムのようなものである。


 それは人間のものでなくてもいいし、人間のものでもいい。


 魔力濃度の高い場所で自然発生する。


 魔力濃度が高いと魔力を使用する魔獣が集まりやすいので、ダンジョンが形成される。


 そこにハンターや冒険者が挑むと、魔獣や人間の死体が集まる。


 魔力によって屍肉が集まり腐った死体の完成。


 ゴーレムのようなものなので、どれも似たような風貌になり固体による差はあまり出てこない。


「そんなにチューしてほしいのか? ほしがりさんめ。だがしかし、貴様の頭の大砲が邪魔なので退くがいい」


 立派なリーゼントがイバラークの視界にがっつり入っている。


 こんな立派な大砲で殴られたら死んでしまうかもしれない。


「ぁあ!? なにわけのわからねぇこと言ってやがる!? キメぇんだよ!?」


 疲労で少し錯乱気味らしい。


 イバラークは心配になってしまう。


 最年少ギルド員はエヒムだが、彼は農業の知識もスキルもピカイチなのであまり心配はいらないのだが、この少年はまるで素人なので心配の種が尽きない。


 どうせなら作物の種が尽きなくなればいいのに。


「錯乱してる所悪いんだが、様子を見に来た。ふむ、素人にしては頑張って耕しているじゃないか。その手はマメができてるのか? 傷薬をやるから付けとけ。あと、家の中にオートヒール効果のあるポーション置いとくから寝る前に飲めよ」


「あぁ・・・・・・」


 オサカは知らなかったが、結構高いポーションである。


 治癒能力を高め、自然回復速度を上げるのだ。


「家のほうはどうだ? 不便はないか?」


「あぁ、そっちは何も問題ない」


「そうか。一応見させてもらうぞ」


「あぁ」


 イバラークは自分が建てた家のチェックに入る。


 家の周りを一周して外観をチェック。


 問題なし。


 ドアの開け閉めを全部。


 問題なし。


 トイレの貯留部のたまり具合と臭気チェック。


 問題なし。


 台所の破損や想定外のところへの火の延焼がないか。


 問題なし。


 天井に雨漏りあとはないか。


 問題なし。


 つまり問題なし。


 ひとしきり確認が終わったイバラークは、家の中のわかりやすいところにポーションを2本置いて外に出た。


 オサカはまたもくもくと耕す作業に戻っていた。


「変な奴だが、案外マジメなんだよなぁ」


 だからこそ何かと世話をやいてしまうのだろうとイバラークは思った。


 基本、農業ギルドのギルド員に悪人はいない。(一人だけ悪魔はいるが)


「お~い、俺はもう行くぞ~!」


「ぁあ!?」


 今日はもう誰かの家に泊まることはせずに王都へ帰る。


 あまりギルドを空けすぎると、またトラブルの元である。


 ギルドに帰ってトトリの存在で癒されよう。


 イバラークは王都へと帰るのだった。

いつも呼んでくださる皆様ありがとうございます。


ポジティブシンキングって大事ですよね。

幸せか不幸かって、結局自分の感じ方しだいなわけで、自分が幸せと思っていればどんな状況であっても幸せでいられるんですね。

ワタクシはネガティブシンキングのスキル持ちなんですがね。

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