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ギルドマスターが見た、バカの優しさ

 ここに来るまで、だいぶかかった。


 雨のせいといえば雨のせいなのだが、視界が悪いとか足元が悪いからではない。


 イバラークが一人で来る時の倍くらいかかった。


 すべてはこのオサカのせいである。


 街道をシルバーウルフの子どもが横切った。


 オサカはマントをそのシルバーウルフの子どもにかけようとし、逃げられた。


 シルバーウルフの子どもはかなりビックリしていた。


 よく噛まれたりひっかかれたりしなかったなと思う。


 子どもとはいえモンスターである。


 続いてポイズントードが街道の岩の上に鎮座していた。


 人を襲うことは滅多にないが、毒が有るので誰も近付かない。


 なのにオサカは平然と近付くと、マントをかけようとしていたのでイバラークが止めた。


 毒でマントが溶けて二度と使えなくなる。


 人に近付かれることなんてないポイズントードは急に近付いてきたオサカに驚いて逃げていった。


 今度はスライムがいた。


 ふにょんふにょんしている。


 ゼリー状の体とその体内に核がある。


 巨大な単細胞生物だ。


 まぁ、待ちたまえ。


 スライムは濡れてもどうにもならないから。


 魚に水をかけるようなものだから。


 なんで今日はこんなにモンスター達に遭遇するのだろう。


 ギガントゴーレム。


 めったに出会うことはない上級ゴーレムだ。生物ではないからモンスター扱い。


 ただし、守るべき場所に配備されていないゴーレムは基本無害。


 襲ってくることはない。


 やっぱり、マントをかけようとする。


 人間のマントをかけたところでほとんどの部分が露出するので意味がないと思う。


 イバラークは説明してマントをかけるのを止める。


 そんなことの繰り返しで大災害跡地まで来るのに非常に時間がかかった。


 もう、昼もだいぶ過ぎている。


「なぁ、オサカ」


「ぁあ!?」


「お前ってそんなにマント要らないの? 早くそのマントを手放さないと呪いで死んじゃう系?」


「ぁあ!? 何バカな事言ってんだテメェ!? ぉお!?」


 どうやら呪いのアイテムだから手放したいわけではないようだ。


 要するにただのバカなのだろう。


 他人事だが将来が心配になる少年だ。


 アキータの土地とは少し区画が離れるが、遠いって程ではない。


「この杭からこの杭まで、んでこの杭からこの杭までの四角の中がお前の土地な」


 イバラークが四本の杭を立てていく。


 適当に挿しているように見えて意外と正方形に挿されている。


 当然だが、オサカも下級ギルド員スタートなので一区画貸与だ。


「ここが、俺の土地・・・・・・」


 オサカが現実感の無さそうなつぶやきをした。


「おう。しっかり励めよ。どうやって始めればいいかわからんだろうから、今から農業を教えてくれる先生の所に連れてってやる」


 そういって向かったのは・・・・・・。


「え~、農業を教えるのはいいんですけどね・・・・・・」


 当然エヒムの家。


「なんでみんな僕の家に集まるんですか!?」


 ホッカイがいた。


 アキータもいた。


 外にはドラゴンのシニオレがいる。


 なおオサカはシニオレにもマントをかけようとしたが、辞退された。


 ナチュラルにドラゴンにもマントをかけに行ったのでいい度胸している。


「アキータさん、もう何日目ですか!? ホッカイさん、あなたも自分の家建てましたよね!? イバラークさん、まさかと思いますが・・・・・・」


「うむ、泊めてくれ。この大砲頭と一緒に」


 またしばらくエヒムの家は騒がしくなりそうだ。

読んでくれるみなさん、本当にありがとうございます。


えー、この度また評価をしてくださった方がいらっしゃいまして、しかも高評価!

わたくしにとっての神様はこうして読んでくださっている皆様です!


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