ギルドマスターは神童に感心する
ホッカイが土地を耕し終わったので次の段階に進む。
「え~、土は石が無いほうが良いです。根野菜なんかは成長過程で石にあたると歪んだり二股になったりと様々に影響します。なので極力石は取り除いていきます」
超常現象を目にしてしまったエヒムは、一度は倒れたものの復活し、指導を再開した。
頑張れ、エヒム君。農業ギルドのためにも!!
イバラークは心の中で一生懸命応援した。
最悪は逃げられないように監禁しようとも思った。
が、保留した。
ホッカイが耕した土を手に取るエヒム。
「・・・・・・え~、土そのものには栄養が有りません。肥料が必要です」
あ、耕した時に石はみんな粉砕されてたのね・・・・・・。
さらりと何も無かった事にして話を進めたエヒム。
顔色は悪いが、強くなった。
「動植物が死んで、死骸が分解されて栄養になるんですけど・・・・・・」
エヒムは少し困ったようにあたりを見る。
ピンと来るのはアキータだ。
「確かに、この土地に動植物は無いわね。分解するには生物が必要。分解される物も分解する者も不在の土地。枯れた大地って事ね」
「はい、腐葉土と生物の糞を土に混ぜて土を作るのが一般的です。腐葉土には分解される葉と分解する生き物がセットでいますから」
しかし、十歳とは思えぬ知識だ。
イバラークが感心する。
次々とエヒムが農業のイロハを教えていく。
やがて日は暮れる。
いくら人知を超えた耕しをしたといっても、広大な土地を開墾したのでそれなりに時間を使った。
一日で農業の全てを教わる事は出来ない。
今日の所はお仕事終了だ。
全員でギルドに帰る事にした。
途中、イバラークがエヒムを背負い、ホッカイがエヒムの分の荷物も担いだ。
十歳の子どもには疲れる行程だ。
イバラークがエヒムを背負ったので、ギルドには深夜になる前に着いた。
まだトトリが残っており、いつもの笑顔で出迎えてくれた。
「よし、今日は疲れているだろうし、俺のおごりだ。何か食べに行くぞ!!」
「嫌よ」
「なぬ!?」
「私も家族が待っているので遠慮します」
「おぅふ・・・・・・」
女性二人は辞退だった。
ぽむ。
イバラークの肩に手を置いたホッカイとエヒムは残ってくれた。
お前らだけだよ、俺の味方は・・・・・・。
イバラークの頬を涙が一筋。
「よーし、行くぞー!」
気を取り直して女性二人を除いたメンバー三人で飲食店街に向かった。
・・・・・・ほとんどの店が閉店していた。
もうこんな時間だからね。
たぶんアキータは気付いていた。
だから嫌と言ったんだろう。
教えろよ・・・・・・。
この時間でもやっているのは飲みメインの所だが。
飯抜きよりは良いだろう。
いつも読んで下さっている皆様、ありがとうございます。
凡人以下のxenonzeroです。
世の中には天才と呼ばれる人達がいます。
そういう人達ってやはり幼少期から他人とは違うのでしょうか。
エヒム君みたいな十歳だったら天才と呼ばれるようになるんでしょうかね?




