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ギルドマスターは妖精を捕まえた?

 凄まじい勢いで開かれたドアから奴は堂々と侵入してきた。


 癖の一切無い髪をかき上げ、ギルド内を見渡す。


 トトリを見つけたので、視線だけでイバラークがどこにいるかを尋ねる。


 トトリはいつもの笑顔のまま視線をギルドの奥の席へやった。


 それを受けて一直線に奥の席――――応接スペースに向かう。


「何、その妖精? っていうか、妖精って本当に存在するのね」


 新しいギルドメンバーのエヒムを見ての開口一番。


 言われてみれば、実にしっくりくる姿をしているが、エヒムはちゃんと人間である。


「ふひっ。新しいギルド員」


 にやけ顔のイバラークがエヒムを指差す。


「・・・・・・変態ね。そうやって手篭めにし」


「してねぇよ!? やめろ、アキータ!! 誤解を受けるだろうが!! 大体、男だこいつは!!」


 アキータは信じられないという顔で、その顔色は真っ青だ。


 よろけて二歩ほど後ろへ下がる。


「小さい男の子が趣味だったなんて・・・・・・」


「うがぁあああ!! 違う! あれ、エヒム君、なんで距離を取るのかな・・・・・・?」


 イバラークが手を伸ばしたが、エヒムは伸ばされた分後ろに後退した。


「・・・・・・・・・・・・」


 イバラークはショックで手を伸ばしたままの姿で固まっている。


 目が点になり、鼻水も垂れている。


「そんな所で石像ごっこしてないで、早く土地よこしなさいよ」


 誰のせいだ、誰の。


 相変わらず鬼の所業だった。


 せっかくの獲物・・・・・・エフンエフン。


 エヒムが逃げてしまったらどうするんだ。


「あー、この見た目以外全てが悪い女が黒衣の天使、百の悪魔を従える魔王、鬼も裸足で逃げだすナマハゲことアキータだ。で、あそこで一言も発していないイケメンがホッカイだ」


 ぺこり。


 紹介されたホッカイが頭を下げる。


 何だろう、アキータとホッカイ足して二で割った感じでギルドに入ってきてくれないかな。


 イバラークに言われて初めてホッカイに気付いたトトリが驚いている。


 元暗殺者が気付かないくらいの気配の消しっぷりである。


 アキータが驚いていない所を見ると、一緒に来たのだろう。


 この二人が一緒に歩いていたら凄く目立つだろうな、と他人事にイバラークは思った。


「で、こっちの巨乳がトトリ。彼女は事務員だから」


 トトリは気にした風も無く微笑んだまま会釈する。


 本当にこの部分だけを切り取れば、ただのおっとりした美人のお姉さんなのだが。


 これで元腕利きの暗殺者なのだから人間分からないものである。


「で、俺がギルドマスターのイバラークだ」


「別名変態マスター」


「小娘!? 俺のどこが変態だ!?」


 真面目な顔でしれっとそう言うのはやめて欲しい。もしかして本当にそうなのかもって思われてしまう。


 アキータとは本当に相性が悪い。


「あら、ストーキングしてみたり自分を殺そうとした女を口説いたり、ショタコンだったりするし、私に虐められて興奮するような変態じゃない。あ、私の近くに来る時は五歩以上離れてね、妊娠したら困るから」


「興奮するか、天使の皮をかぶったモノノケめ!」


 五歩分も離れたら全然近くじゃない。


 イバラークが死んだら死因はストレスかもしれない。


「とにかく、新しいギルド員のエヒム君。農家の子らしいから、色々教わると良いよ」


 アキータが珍しく感心したようにへぇ、と漏らす。


「あの、よろしくお願いしますっ」


 こうして可愛い男の娘が・・・・・・間違った、男の子がギルドに入ったのだった。

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